家来は「惚れさせねばならぬ」徳川家康が遺したリーダーシップの本質

戦国武将 名言集

家来は「惚れさせねばならぬ」──徳川家康が遺した、現代リーダーに贈るリーダーシップの本質

「家来はな、惚れさせねばならぬものよ」──これは、徳川家康が残したとされる「大将の戒め」の一節です。リーダーとはどうあるべきか、上に立つ者の心構えと責任を、厳しくも温かく教えてくれる言葉です。

家康のように、戦国の乱世を勝ち抜いたリーダーが語るからこそ、重みがあります。現代のビジネスにおいても、上司、管理職、経営者といった「人の上に立つ者」にとって、驕らず、謙虚であり、そして「部下に惚れられる」存在であることが、組織の力を最大限に引き出すために必要なのです。

「大将の戒め」に学ぶ、信頼を築くリーダーシップ

徳川家康は言います。

大将の戒め
大将というものは
敬われているようで その実家来に
絶えず落ち度を探られているものだ
恐れられているようで侮られ
親しまれているようで疎んじられ
大将というものは
絶えず勉強せねばならぬし
礼儀もわきまえねばならぬ
よい家来を持とうと思うなら
わが食を減らしても
家来にひもじい思いをさせてはならぬ
自分一人では何もできぬ
これが三十年間つくづく
思い知らされた家康が経験ぞ
家来というものは
禄でつないではならず 機嫌をとってはならず
遠ざけてはならず 近づけてはならず
怒らせてはならず 油断させてはならぬものだ
「では どうすればよいので」
家来はな 惚れさせねばならぬものよ

これはつまり、リーダーは「見せかけの好感」や「形式的な敬意」ではなく、本物の信頼を得なければならないということです。
地位や権力があるときこそ、慎重にならなければなりません。人は、上司の姿勢や人間性を見ています。そして、本気で部下に向き合い、苦楽を共にしようとするリーダーにこそ、人は「ついていきたい」と思うものです。

ビジネスにおける具体的な実践提案

現代の職場でも「家来は惚れさせねばならぬ」という言葉は通用します。信頼を得るために、リーダーが日々心がけるべき行動は以下の通りです。

  • 部下の前で率先して働く。リーダー自らが本気で行動する姿を見せる。
  • 人に敬意を持って接し、細やかな気配りを忘れない。
  • 失敗を部下のせいにせず、自分の責任として受け止める。
  • 成果を部下と分かち合い、しっかりと評価する。
  • 権力を振りかざさず、権限を委ね、信頼して任せる。
  • 感謝や労いの言葉を、日常の中で自然に伝える。

上司が「自分のためにここまで動いてくれる」と感じさせる存在になることで、部下は自らの意思で動き出します。命令では動かない時代だからこそ、「惚れられるリーダー」が組織の真の原動力となります。

現代経営に活きる「惚れさせる力」

困難な局面に立たされたとき、日頃から信頼関係が築けているかどうかで、その組織の対応力は大きく変わります。日頃から周囲への心づかいを怠らず、一生懸命働く姿を見せるリーダーには、自然と人が集まり、助けようとする空気が生まれます。

これは決して「媚びる」ということではありません。あくまで誠実さや人間味のある対応を通じて、「この人のために力になりたい」と思わせる力、それが“惚れさせる”ということなのです。

最後に:失敗を通じて成長するリーダーに

家康は「三十年間つくづく思い知らされた」と語っています。つまり、彼も最初から理想的なリーダーだったわけではありません。失敗し、苦しみ、反省する中で、この境地に辿り着いたのです。

現代のビジネスリーダーもまた、失敗を恐れず、そこから学び、日々変化する中で「人を動かす力」を磨いていくべきです。
「惚れさせる」ためには、まず自分が「惚れられる人間」であること。徳川家康の言葉は、今もなお、私たちにリーダーの本質を問いかけ続けています。

この記事を読んでいただきありがとうございました。

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