武将が陥りやすい三大失観。
一、分別あるものを悪人と見ること
一、遠慮あるものを臆病と見ること
一、軽躁なるものを勇剛と見ること
リーダーが陥りやすい失敗を取り上げた名言です。
分別あるものを悪人とみること
リーダーの周囲はゴマすりをする人ばかりが集まりがちで、その褒め言葉をたくさん聞く環境にあります。自分に意見を言ってくれる人が極端に少なくなり、その代わりにリーダーの意見に簡単に同意する人が増えてきます。
こうなると、自分に情報が入ってこなくなり、正しい判断ができなくなります。リーダーの周りには必要な時に異論を唱えてくれる本当に正直な人間が必要で、耳に痛い忠言をしてくれる人を受け入れなさいと信玄は説いています。
耳が痛い忠言を受け入れるかどうかはリーダーの気持ち次第ですが、正直な意見を言ってくれる人は大切にしたいものです。正直な意見を言う人を嫌うようでは、リーダーに苦言を呈する人がいなくなります。リーダーの資質は、忠言を受け入れるだけの人間的な大きさできまります。
遠慮あるものを臆病とみること
最近は自己主張していなければ損をする時代と言われています。自己主張をしない人が目立たない、認められにくい世の中です。
失われつつある謹みや謙虚さですが、なかにはいぶし銀のような深みがある人もいます。謙虚な人は、人の見ていないところでさまざまな努力を重ね続けています。そしてその努力を他人に見せびらかすことはあまりしません。謙虚な人は、つねに努力して自分を高めようとする意欲があります。
一方で自分から前に出てこないので、謙虚な人は会議などで自分の意見を通そうなどという気はなく相手に協力します。そのため仕事の技術やアイデアの質は高めですが、リーダーの理解を得られることは難しくなります。
知識や能力がある人ほど、物事が良く見えるので無責任な安請け合いはしません。リーダーは謙虚な人が慎重になっている行動の背景や理由をしっかり見極めることが大切です。遠慮や謙遜をする人を自信がないのだとか臆病なのではないかと思ってしまうと、リーダーにとって大きな損失です。
軽躁なるものを勇豪とみること
目立ちたがりで自己主張が強い。話し上手でユーモアがあり人を惹きつける。自惚れが強く、よく自慢話をする。自己顕示性が強い性格の人をリーダーシップや実行力があると勘違いしてしまうことです。口先だけで相手に期待を持たせ普段は頼もしく思える人でも、いざという時に役に立たない人もいます。
リーダーも一人の人間ですから、すべての能力を備えているわけではありません。しかしリーダーが犯したミスは大きな影響を与えます。その仕事に相応しい人たちを見つけ出して、その人たちに任せることが重要です。
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