山梨県の県庁所在地、甲府市にそびえる甲府城。ここは、戦国時代から江戸時代にかけて、甲斐の国の要として重要な役割を果たしたお城です。現在の甲府城跡は「舞鶴城公園(まいづるじょうこうえん)」として整備され、市民や観光客が気軽に歴史に触れ、絶景を楽しめる場所となっています。甲府駅から徒歩数分というアクセスの良さも魅力です。歴史に詳しくない方でも、広大な石垣や復元された建物から、当時の息吹を感じ取れます。さあ、甲府城で、あなただけの歴史と絶景の旅に出かけてみましょう。
お城の歴史:誰がいつ築き、どんな役割を果たしたか
甲府城の歴史は、戦国時代の終わりに始まります。武田氏が滅亡した後、天下を統一しつつあった豊臣秀吉が、関東に勢力を広げる徳川家康に対抗するための拠点として、甲斐の地に築城を命じました。具体的な築城は、豊臣秀吉の家臣である加藤光泰(かとうみつやす)によって開始され、その後、浅野長政(あさのながまさ)・幸長(よしなが)父子によって完成しました。天正18年(1590年)頃の築城と考えられています。
甲府城は、甲府盆地の北部に位置する一条小山(いちじょうこやま)に築かれました。内堀、二ノ堀、三ノ堀で囲まれた広大な城郭であり、本丸には天守台が設けられました。この城は、まさに徳川家康への抑えとして、また甲斐国の中心的な城として重要な役割を担うことになります。江戸時代に入ると、甲府城は徳川将軍家の一門や譜代大名が城主を務め、城下町とともに大きく発展しました。
特に、江戸時代中期には、徳川将軍の側用人(そばようにん)であった柳沢吉保(やながさわよしやす)が城主となり、甲府城下の発展に尽力しました。彼は文治政治を推進し、甲斐国の経済や文化の振興にも大きく貢献したのです。しかし、明治維新後の廃城令により、甲府城は取り壊されることとなりました。それでも、その広大な敷地と残された石垣は、現在「舞鶴城公園」として整備され、当時の壮大な姿を今に伝えています。甲府城は、戦国の動乱から江戸の安定期へと移り変わる日本の歴史を見守ってきた、まさしく甲斐の国の象徴と言うべきお城です。
見どころ紹介:天守台、石垣、門などの特徴と魅力
天守台からの壮大な眺め
甲府城の最も魅力的な見どころの一つは、何といっても本丸に位置する天守台です。かつて天守がそびえていたこの場所からは、広大な甲府盆地を一望できます。天気が良ければ、遠くには霊峰富士の姿も望め、その絶景は「関東の富士見百景」にも選ばれています。甲府の街並みと、周囲を囲む山々の雄大な景色を一度に楽しめる、最高の展望スポットです。
歴史を物語る美しい石垣
甲府城の大きな特徴は、その堅固で美しい石垣です。特に、城が最初に築かれた安土桃山時代に採用されていた「野面積み(のづらづみ)」の石垣が随所に見られます。自然の石を加工せずにそのまま積み上げた野面積みは、力強く、当時の築城技術の高さを物語ります。天守台の石垣や、山手御門(やまてごもん)周辺の石垣など、場所によって石の積み方や表情が異なるので、細部までじっくりと観察してみるのも楽しいものです。中には「兄弟石」と呼ばれる、石を割った跡が残る石も見つけられるかもしれません。
復元された歴史的建造物
舞鶴城公園内には、歴史的建造物が復元され、当時の甲府城の姿をより具体的にイメージできます。特に目を引くのは、稲荷櫓(いなりやぐら)です。二階建ての瓦葺きの櫓で、内部は展示室にもなっており、甲府城の歴史や築城に使われた道具などが紹介されています。櫓の上からは、甲府市街地や周囲の山々を見渡せます。また、城の主要な門であった「鉄門(くろがねもん)」も復元され、その堂々たる姿は訪れる人々を圧倒します。
舞鶴城公園としての魅力
甲府城跡は「舞鶴城公園」として整備されているため、歴史的な遺構だけでなく、広々とした公園としての魅力も兼ね備えています。四季折々の花が咲き、特に春には桜の名所として多くの人々で賑わいます。散策路も整備されており、ゆったりとした時間を過ごせます。歴史的な見どころと、市民の憩いの場としての機能が融合した、魅力的な場所です。
映える撮影スポット:人気の撮影場所や時期・時間帯のおすすめ
天守台からのパノラマビュー
甲府城で最高の撮影スポットは、やはり天守台からの眺めです。甲府盆地の広がりと、遠くに見える富士山を背景に、壮大なパノラマ写真を撮影できます。特に、空が澄み渡る晴れた日には、富士山がくっきりと見え、感動的な一枚を収められます。朝の時間帯は、まだ観光客も少なく、清々しい空気の中で撮影ができます。夕暮れ時は、空がオレンジ色に染まり、幻想的な写真が撮れます。
稲荷櫓と石垣
復元された稲荷櫓は、甲府城を象徴する建物のひとつです。櫓と、それを支える迫力ある石垣を一緒に写すことで、歴史的な重みを感じる写真を撮れます。特に、少し離れた場所から櫓全体を捉えると、その雄大さが際立ちます。稲荷櫓の内部も撮影スポットであり、展示物と共に城の歴史を記録する場所として最適です。
鉄門の威厳ある姿
復元された鉄門も、人気の撮影スポットです。重厚な門構えは、当時の甲府城の威厳を今に伝えています。門を背景に記念撮影をしたり、門の細部をクローズアップして歴史の痕跡を感じる写真を撮ってみるのはいかがでしょうか。特に、門をくぐり抜けるような構図で撮影すると、奥行きのある印象的な写真になります。
四季折々の風景
甲府城は、四季折々の美しい表情を見せます。春には、公園内に咲き誇る桜と甲府城のコラボレーションが大変人気です。淡いピンク色に染まる城は、写真映えすること間違いありません。秋には、紅葉が石垣や周囲の山々を彩り、鮮やかな写真を撮れます。冬には、雪化粧をまとった城が、静かで厳かな雰囲気になり、他の季節とは異なる趣の写真を撮影できます。
夜景とライトアップ
甲府城は、夜間にはライトアップされ、幻想的な姿を見せます。暗闇に浮かび上がる石垣や復元された櫓は、昼間とはまた違った表情を見せ、美しい夜景を撮影できます。特に、ライトアップされた天守台から眺める甲府市街の夜景は格別です。三脚を持参して、じっくりと夜景撮影に挑戦してみるのも良いですね。
現地体験:博物館見学、歴史散策、地域の催し物など
甲府城跡歴史公園の見学
甲府城跡は「舞鶴城公園」として整備されており、広大な敷地を自由に散策できます。天守台、稲荷櫓、鉄門などの主要な見どころを巡りながら、当時の城の様子に思いを馳せてみましょう。公園内には案内板も充実しており、初めて訪れる方でも迷うことなく散策できます。石垣の積み方や、曲輪の配置など、細部に注目すると新たな発見があるかもしれません。
発掘調査現場の見学
甲府城では、現在も発掘調査が継続して行われている場所があります。時期によっては、発掘調査の現地見学会が開催されることもあります。普段目にすることのない発掘の様子や、地中から出土した当時の瓦や陶磁器などの資料を、専門職員の解説付きで見学できる貴重な機会です。訪れる前に、公式ウェブサイトなどで最新の開催情報を確認することをおすすめします。
甲府城に関する展示施設
稲荷櫓の内部は、甲府城に関する展示室になっています。ここでは、甲府城の歴史、築城の過程、出土品などが分かりやすく紹介されています。また、当時の鯱(しゃちほこ)のレプリカなども展示されており、城の構造や歴史的背景を深く学べます。遺跡を散策する前にここで基礎知識を得ておくと、より一層、見学が楽しくなります。
季節のイベントへの参加
舞鶴城公園では、一年を通して様々なイベントや催し物が開催されます。春には桜まつり、秋には紅葉ライトアップなど、季節ごとの自然の美しさを楽しめるイベントがあります。また、歴史に関する講演会や、甲冑(かっちゅう)の試着体験、伝統芸能の披露など、城にちなんだ催し物が開催されることもあります。事前にイベント情報を確認し、参加してみるのも良い思い出になります。
甲府城と周辺の歴史スポットを巡る散策
甲府城だけでなく、周辺には武田信玄ゆかりの地など、多くの歴史スポットが点在しています。これらを合わせて巡ることで、甲斐の国の歴史をより深く体験できます。例えば、武田神社や信玄ミュージアムを訪れ、武田氏の歴史を学んでから甲府城を訪れると、時代の流れや城の役割がより明確に理解できます。
交通手段:電車・乗合自動車・車での行き方、最寄り駅など
電車を利用する場合
甲府城へのアクセスは、公共交通機関が非常に便利です。最寄り駅はJR甲府駅です。JR中央本線やJR身延線が乗り入れており、東京方面からは特急「あずさ」や「かいじ」を利用すると、新宿駅から約1時間30分で甲府駅に到着します。名古屋方面からは、特急「ワイドビューしなの」で塩尻駅を経由し、乗り換えて甲府駅へ向かいます。甲府駅から甲府城跡(舞鶴城公園)までは、南口から東へ徒歩わずか2分から5分と、駅からのアクセスは抜群です。駅の改札を出てすぐに城跡が見えるため、迷うことはまずありません。
車を利用する場合
自家用車やレンタカーで甲府城へ向かう場合、中央自動車道の甲府昭和インターチェンジまたは甲府南インターチェンジが最寄りのICとなります。甲府昭和インターチェンジからは、約15分から20分で甲府城に到着します。甲府南インターチェンジからは、約20分から25分です。甲府城跡(舞鶴城公園)には、体の不自由な方やバス専用の駐車場がありますが、一般の自動車はJR甲府駅北側の県営北口駐車場など、周辺の有料駐車場を利用してください。
路線バスを利用する場合
甲府市内を巡る路線バスも充実しています。甲府城跡周辺には、複数のバス停があり、例えば「甲府駅(陸橋)」バス停から徒歩約2分で甲府城跡に到着します。しかし、甲府駅から甲府城までは徒歩圏内なので、バスを利用する機会は少ないかもしれません。他の観光地へ移動する際に、バスを活用すると便利です。山梨交通の路線バスが市内を網羅しています。
総じて、甲府城は甲府駅に非常に近い場所に位置しているため、電車を利用するのが最も手軽で便利な交通手段と言えます。駅からのアクセスが良いので、時間を有効に活用できます。
周辺の観光名所:徒歩・公共交通で行ける名所
甲府城観光と合わせて、周辺の魅力的な観光名所も訪れてみませんか。甲府市内には、歴史、文化、自然を満喫できる場所が多数あります。
武田神社(たけだじんじゃ)
甲府城から北へ少し行った場所にある武田神社は、戦国時代の名将、武田信玄を祀る神社です。かつての武田氏館跡に創建されており、信玄公の居館の雰囲気を今に伝えています。境内には、当時をしのばせる堀や石垣が残り、御神水が湧き出る「姫の井戸」や「三葉の松」などはパワースポットとしても人気があります。甲府駅からバスで約10分から15分、または車で約10分です。甲府城と合わせて、武田氏の歴史に触れるには外せない場所です。
甲州夢小路(こうしゅうゆめこうじ)
JR甲府駅北口に広がる甲州夢小路は、明治・大正時代の甲府をイメージして作られたレトロな雰囲気の商業施設です。石畳の路地には、山梨の特産品を扱う土産物店、地元の食材を使った飲食店、カフェなどが軒を連ねています。甲府駅から徒歩すぐの場所にあり、甲府城観光の行き帰りに立ち寄って、お土産探しや食事を楽しむのに最適です。
山梨県立美術館(やまなしけんりつびじゅつかん)
甲府市中心部から少し離れた場所に位置する山梨県立美術館は、ミレーの「種をまく人」など、世界的に有名な作品を所蔵していることで知られています。広々とした敷地には、美しい庭園や彫刻作品も配されており、芸術と自然を同時に楽しめます。甲府駅からバスで約15分から20分です。芸術鑑賞に興味がある方には、ぜひ訪れていただきたい場所です。
昇仙峡(しょうせんきょう)
日本屈指の渓谷美を誇る昇仙峡は、甲府市の北部に位置する景勝地です。奇岩や巨石が織りなす雄大な自然と、清流が織りなす美しい景色は圧巻です。特に秋の紅葉シーズンは、鮮やかな色彩で彩られ、多くの観光客で賑わいます。甲府駅からバスで約30分から40分です。自然を満喫したい方には、ぜひ足を延ばしていただきたい場所です。
サドヤワイナリー
山梨はワインの産地としても有名です。甲府市内には、老舗のワイナリーが点在しています。サドヤワイナリーは、甲府駅から徒歩圏内にあるワイナリーで、ワインの製造工程を見学したり、試飲を楽しんだりできます。ワイン好きの方には、見逃せないスポットです。甲府駅から徒歩約15分です。
これらの周辺名所は、甲府城観光をより充実したものにしてくれるでしょう。甲府市はコンパクトにまとまっているので、公共交通機関や徒歩で効率よく観光地を巡ることが可能です。
ご当地の味とおすすめ店:城の近くで楽しめる食事&喫茶店
甲府城を訪れたなら、山梨ならではのご当地グルメをぜひ堪能してください。甲府駅周辺や城の近くには、美味しいお店がたくさんあります。
ほうとう
山梨の郷土料理といえば、まず思い浮かぶのが「ほうとう」です。幅広の麺を、かぼちゃやきのこ、芋などの野菜と一緒に味噌仕立ての汁で煮込んだ、栄養満点の一品です。寒い時期には、体が芯から温まります。甲府駅周辺には、ほうとうの専門店が多数あります。
- 甲州ほうとう小作(こうしゅうほうとうこさく)甲府駅前店:JR甲府駅南口から徒歩すぐの場所にある、ほうとうの有名店です。様々な種類のほうとうを味わえ、観光客にも地元の人々にも愛されています。
甲府鳥もつ煮(こうふとりもつに)
甲府のもう一つの名物料理が「甲府鳥もつ煮」です。鶏のレバー、ハツ、砂肝、きんかんなどを甘辛いタレで煮込んだもので、ご飯にもお酒にも良く合います。B級グルメの祭典「B-1グランプリ」で優勝したこともある、全国的に有名な料理です。
- 奥藤本店(おくとうほんてん)甲府駅前店:甲府鳥もつ煮の発祥とも言われる老舗のそば店です。手打ちそばと一緒に鳥もつ煮を味わうのが、甲府流の食べ方です。甲府駅から徒歩圏内です。
甲州ワインと地酒
山梨県は日本有数のワイン産地であり、甲府市内でも様々なワインを味わえます。また、日本酒の蔵元もあり、地酒も楽しめます。食事と一緒に、地元のワインや日本酒を試してみるのも良い経験です。
- 甲州ワイン蔵(こうしゅうわいんぐら):甲府駅近くにあるワイン専門店で、山梨県産のワインを豊富に取り揃えています。試飲もできるので、お気に入りの一本を見つけられます。
- オープンカフェ まるごとやまなし館:山梨県内の特産品を販売する施設で、地元の食材を使った軽食や、地酒、ワインなども楽しめます。
信玄餅(しんげんもち)
お土産として非常に有名な「信玄餅」は、きな粉と黒蜜をかけて食べる、餅菓子です。その場で食べることはあまりありませんが、喫茶店などで信玄餅を使ったスイーツを提供しているお店もあります。
- 黒蜜庵きなこ亭 甲州夢小路店:甲州夢小路内にあり、信玄餅に関連するスイーツや、きな粉を使ったドリンクなどを楽しめます。
これらの甲府のご当地グルメは、甲府城観光の合間にぜひ味わっていただきたいものです。駅周辺に多くのお店が集まっているので、移動も便利です。
周辺名所への行き方:徒歩何分/交通手段などの簡潔な案内
武田神社への行き方
甲府城からは公共交通機関か車でアクセスします。
- 公共交通:JR甲府駅南口から山梨交通バス(武田神社行き)に乗車し、約10分から15分。「武田神社」バス停下車。
- 車:甲府城周辺から車で約10分。
甲州夢小路への行き方
甲府城から徒歩でアクセスできます。
- 徒歩:JR甲府駅北口から徒歩すぐ。甲府城(舞鶴城公園)から甲府駅を挟んで北側です。
山梨県立美術館への行き方
甲府城からは公共交通機関か車でアクセスします。
- 公共交通:JR甲府駅南口から山梨交通バス(美術館経由の路線)に乗車し、約15分から20分。「県立美術館」バス停下車。
- 車:甲府城周辺から車で約10分から15分。
昇仙峡への行き方
甲府城からは公共交通機関か車でアクセスします。
- 公共交通:JR甲府駅南口から山梨交通バス(昇仙峡口行きまたは昇仙峡滝上行き)に乗車し、約30分から40分。
- 車:甲府城周辺から車で約30分から40分。
サドヤワイナリーへの行き方
甲府城から徒歩でアクセスできます。
- 徒歩:甲府城から徒歩約15分。甲府駅南口から東へ進んだ場所にあります。
これらの周辺観光名所への移動手段を把握し、効率の良い旅の計画を立ててください。
まとめ:初心者にもおすすめの理由、旅の秘訣
甲府城は、駅から近く、歴史初心者でも楽しめる場所です。広大な城跡は公園として整備され、歴史散策とリラックスを兼ねられます。天守台からの壮大な眺めは、甲府盆地や富士山を一望でき、訪れる人々を魅了します。堅固な石垣や復元された建物など、見どころも豊富であり、当時の城の様子を肌で感じられます。
旅の秘訣は、まず歩きやすい靴で訪れること。そして、天守台からの景色は晴れた日の午前中がおすすめです。甲府城だけでなく、武田神社や昇仙峡、地元グルメも合わせて巡り、山梨の歴史、文化、自然、食を存分に満喫する旅を計画してください。
この記事を読んでいただきありがとうございました。