【即実践】「存じます」の正しい使い方と「思います」との使い分けを徹底解説!ビジネスメールで役立つ言い換え表現も

備えあれば憂いなし
「この案件はこれで進めたいと存じます」「〇〇様のことは存じ上げますか?」

ビジネスの場面で必須となる「存じます」という敬語。しかし、「思います」との使い分けや、「存じ上げます」との違いに自信がないという方も多いのではないでしょうか?

「思います」を安易に使って失礼になったり、「存じます」を使いすぎてくどい印象を与えたり…。敬語のミスは、あなたの信頼を大きく左右します。

本記事は、「思います」「知っています」の謙譲語である「存じます」を、ビジネスメールで即実践できる例文と、TPOに応じた「使い分けのコツ」に焦点を当てて徹底解説します。この記事を読めば、あなたは状況に応じて最適な敬語を選び、ワンランク上のビジネスパーソンとして信頼を得られるでしょう。

1. 「存じます」とは?意味と「謙譲語」としての役割

「存じます(ぞんじます)」は、動詞「存ずる(存じる)」に丁寧語の「ます」が付いた形です。

1-1. 「存じます」の基本的な意味

「存じます」は、主に以下の二つの動詞の謙譲語として機能します。

  • 思う(自分の意見や考えを述べる):例:「私は時期尚早かと存じます。」
  • 知る(自分の知識や認識を伝える):例:「その件については存じております。」

自分の動作である「思う」「知る」をへりくだって表現することで、相手に敬意を示すことができます。これが謙譲語の役割です。

1-2. 「存じます」を使うべき相手

謙譲語は「自分を下げる」ことで相手を立てる表現ですから、「存じます」を使うべき相手は、主に社外の方や、社内の目上の方(上司や役員など)です。かしこまったビジネスシーンでの発言に適しています。

2. 【シーン別】「存じます」の正しい使い方と応用例文

「存じます」は、様々な場面で活用できる便利な表現です。特にビジネスメールで頻出する形を習得しましょう。

2-1. 自分の考えや意見を伝えるとき(〜かと存じます)

断定を避け、控えめに意見を述べたいときに使います。「〜と思います」よりも丁寧で、相手への配慮が伝わります。

  • 「コスト面を考慮すると、B案のほうが効率的かと存じます。」
  • 「部長のおっしゃる通りだと存じます。」(同意を示す場合)

2-2. 依頼・要望を伝えるとき(〜いただきたく存じます)

「〜してください」という直接的な依頼を避け、丁寧な願いを伝える表現です。「いただきたく存じます」は、自分の願いをへりくだって表現する、非常に丁寧な依頼形です。

  • 「大変恐縮ですが、来週中に資料をご確認いただきたく存じます。」
  • 「つきましては、下記候補日程にてご検討いただけますと幸いに存じます。」(「幸いに存じます」は「〜してくれると嬉しい」を丁寧に伝える表現)

2-3. 感謝・喜びを伝えるとき(ありがたく存じます/光栄に存じます)

「嬉しいです」「感謝します」をより丁寧にした表現です。

  • 「この度の迅速なご対応、誠にありがたく存じます。」
  • 「このような賞をいただき、大変光栄に存じます。」

2-4. 自分の認識を伝えるとき(存じております)

「知っています」の謙譲語です。「存じます」よりもさらに丁寧な表現として「存じております」がよく使われます。

  • 「(先日の会議の件ですが)その件については、既に存じております。」
  • 「ご多忙のことと存じますが、よろしくお願いいたします。」

3. これが決め手!「存じます」「思います」の使い分け戦略

「思います」は失礼だと誤解されがちですが、適切に使うことでコミュニケーションが円滑になります。両者の役割を理解しましょう。

3-1. 「思います」は丁寧語:親近感や柔らかさを演出

「思います」は「思う」という動詞に丁寧語の「ます」が付いた丁寧語です。謙譲語である「存じます」ほどかしこまらず、適度な丁寧さを持っています。

  • 「思います」が適切なシーン:社内の同僚・後輩、気心の知れた上司、比較的カジュアルなコミュニケーション。
  • (例文)「このスケジュールで大丈夫だと思います。」
  • (例文)「Bプランのほうが良さそうに思います。」

3-2. TPOによる使い分けの基準

相手との関係性や、社内・社外どちらに向けた発言かで使い分けましょう。

状況 相手 適切な表現 印象
社外/フォーマル 取引先、初対面の上司 存じます 丁寧、かしこまった、プロフェッショナル
社内/カジュアル 同僚、部下、親しい上司 思います 柔らかい、親しみやすい、スムーズ

4. 間違いやすい!「存じます」のNGな使い方と正しい言い換え

せっかく丁寧な言葉を選んでも、使い方が間違っていると失礼にあたります。特に注意すべきNGパターンを見ていきましょう。

4-1. 【NG敬語】「人」が対象なのに「存じます」を使う

「知っている」対象が「人」である場合は、「存じます」ではなく、さらに敬意の高い「存じ上げます(ぞんじあげます)」を使います。「存じ上げます」は「存じる」に謙譲の補助動詞「上げる」を加えた表現で、人を立てる場合に特化しています。

  • NG例:「〇〇部長のことは存じます。」
  • OK例:「〇〇部長のことは存じ上げております。」
  • OK例:「(事柄)会議の日程は存じております。」

この「人」と「事柄」の使い分けが最も重要なポイントです。

4-2. 【NG主語】相手の動作に謙譲語を使う

謙譲語は、自分の動作をへりくだる言葉であり、相手(目上の方)の動作には使えません。相手の動作には「尊敬語」を使います。

  • NG例:「部長がそのように存じています。」(相手の動作に謙譲語を使用)
  • OK例:「部長がそのようにご存知です(または、お考えです)。」

4-3. 【NG乱用】文章中に「存じます」が多すぎる

丁寧な言葉だからといって何度も繰り返すと、かえって文章がくどく、不自然になります。相手に「過剰な丁寧さ」や「慇懃無礼(いんぎんぶれい)」な印象を与えかねません。適切に言い換え表現を使いましょう。

5. 【表現力アップ】「存じます」の賢い言い換え表現

「存じます」ばかりの文章を避けるために、類語をストックしておきましょう。状況に応じて使い分けることで、あなたの表現力は格段に向上します。

5-1. 「知っている/認識している」の言い換え

  • 承知しております:単に「知っている」だけでなく「引き受けた」という意味を含む、非常に便利な謙譲語。
  • 心得ております:「事情をよく理解し、準備ができている」という、より深い理解を伝える謙譲語。

5-2. 「思う/意見する」の言い換え

  • 所存です:「〜するつもりです」「〜したい」という自分の意思を述べる、かたい表現。主に謝罪や決意を表明するときに使います。(例:再発防止に努める所存です。)
  • 拝察いたします:相手の気持ちや状況を「お察しする」という謙譲語。(例:ご多忙なことと拝察いたします。)

5-3. 「依頼・要望」の言い換え

  • 「〜いただけると幸甚(こうじん)です」:「幸いに存じます」よりもさらに丁寧で、書面などかしこまった文書で使われます。
  • 「お願い申し上げます」:「〜いただきたく存じます」がくどいと感じる場合に、シンプルに依頼を丁寧に伝える表現。

まとめ

本記事では、「存じます」と「思います」の明確な使い分けから、ビジネスメールで役立つ応用例、そして「存じ上げます」との混同を防ぐためのチェックポイントを解説しました。

「存じます」は、TPOに応じて使い分けが非常に重要となる言葉です。

  • 社外・目上の方へは「存じます」
  • 社内・親しい間柄へは「思います」

この基本戦略を意識し、さらに言い換え表現を組み合わせることで、あなたの言葉遣いは格段に洗練されます。この記事を参考に、自信を持ってビジネスシーンでの敬語を使いこなしてください。
この記事を読んでいただきありがとうございました。

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