丸岡城を巡る旅:現存天守が語る歴史の息吹

戦国時代のお城 一覧

福井県坂井市にそびえる丸岡城は、日本に現存する12天守の一つであり、その中でも最古の建築様式を持つと伝えられる貴重な城です。別名「霞ヶ城」とも呼ばれ、春には霞の中から浮かび上がるように見える桜に囲まれた美しい姿で知られています。天守閣は国の重要文化財にも指定されており、戦国時代から江戸時代にかけての激動の歴史を今に伝えます。この記事では、丸岡城の深い歴史から見どころ、周辺の観光情報まで、初めて訪れる方でも存分に楽しめるよう詳しくご紹介します。丸岡城の魅力を心ゆくまで味わい、思い出に残る旅に出かけてはいかがでしょうか。

お城の歴史:誰がいつ築き、どんな役割を果たしたか

丸岡城の築城は、織田信長の家臣である柴田勝家の甥、柴田勝豊(しばたかつとよ)によって天正4年(1576年)に始められました。勝豊は、越前一向一揆を平定した信長から、北ノ庄城(現在の福井市)を居城とした勝家を補佐する役割を担い、織田氏の越前支配の拠点として丸岡城を築きました。丸岡城は、平山城という地形を活かし、北陸道の交通の要衝を押さえる重要な役割を担っていました。

本能寺の変後、柴田勝家が豊臣秀吉との賤ヶ岳の戦いで敗れると、丸岡城は秀吉の家臣である丹羽長秀の支配下に入り、その後、青木一矩が城主となります。江戸時代に入ると、丸岡城は徳川家康の家臣である今村盛次が城主を務めましたが、その後、結城秀康の領地となり、松平家が城主となりました。寛永元年(1624年)には、徳川家康の重臣であった本多成重が丸岡藩主として入封し、以降、本多氏が代々城主を務めました。本多氏の時代に、丸岡城は石垣の改修や城下町の整備が進められ、藩の政治、経済、文化の中心地として栄えました。

明治維新後、廃城令によって全国の城郭が取り壊される中、丸岡城は天守閣が唯一解体を免れました。しかし、昭和23年(1948年)の福井地震で天守閣が倒壊するという悲劇に見舞われます。幸いにも、倒壊した材木がほとんど残っていたため、昭和30年(1955年)に解体修理という形で復元されました。現在の丸岡城天守は、日本で唯一、築城当時の材料を8割以上再利用して組み直された、非常に貴重な現存天守です。丸岡城の歴史は、まさに戦国の混乱期から江戸時代の安定期を経て、そして近代の災害を乗り越えてきた、波乱に満ちた物語を今に伝えています。

見どころ紹介:現存天守、石垣、周辺の自然

丸岡城公園には、日本最古の様式を持つ現存天守をはじめ、かつての丸岡城の姿を伝える貴重な見どころが数多く存在します。歴史好きの方でなくても、その荘厳な佇まいにはきっと心を奪われます。

現存最古の天守閣

丸岡城の最大の魅力は、やはり国の重要文化財に指定されている現存天守閣です。現存する12天守の中で最も古い建築様式を持つとされ、その素朴ながらも力強い姿は、戦国の世を生き抜いた堅固な要塞であったことを物語ります。天守閣は望楼型二重三階の造りで、急な階段を上ると、最上階からは丸岡の城下町や周囲の田園風景を一望できます。

野づら積みの石垣

丸岡城の天守台の石垣は、「野づら積み」と呼ばれる古い工法で築かれています。これは、自然石をほぼ加工せずにそのまま積み上げる方法で、石と石の間に隙間が多いのが特徴です。一見すると粗雑に見えますが、この隙間が雨水を排出し、石垣の崩壊を防ぐという優れた機能を持っています。

お静伝説の「血天井」

丸岡城には、悲しい伝説が残されています。築城の際、天守台の石垣が何度も崩れてしまい、工事が難航しました。そこで、人柱を立てるという話になり、一人の寡婦お静が人柱となることを引き受けました。彼女は、息子を城主にしてもらうことを条件に、人柱として埋められたと言います。

その後、天守は無事に完成しましたが、城主となった本多成重は、息子の出世を約束したにもかかわらず、その約束を守りませんでした。すると、毎年堀に亀裂が入り、雨が降ると天守の天井から血のようなものが滴り落ちたという伝説が生まれました。この天井は「血天井」と呼ばれ、お静の怨念が宿っていると語り継がれています。この伝説は、丸岡城の歴史に深みを与えています。

桜の名所「霞ヶ城公園」

丸岡城は、別名「霞ヶ城」とも呼ばれるほど桜が美しいことで有名です。城郭を取り囲むように約400本のソメイヨシノが植えられており、春には満開の桜が霞のように城を包み込みます。桜の時期には、夜間ライトアップも行われ、夜桜と天守閣の幻想的なコラボレーションが楽しめます。この景色は必見です。桜の季節には多くの花見客で賑わい、その美しさは訪れる人々を魅了します。

丸岡城公園を巡ることで、その壮大な歴史と、職人の技が光る建造物の数々に感動を覚えるはずです。時間をかけて、じっくりとその魅力を探してみてはいかがでしょうか。

映える撮影スポット:人気の撮影場所や時期・時間帯のおすすめ

丸岡城公園は、美しい写真が撮れるスポットが満載です。どの場所も魅力的ですが、特に「映える」と人気の撮影場所や、おすすめの時期・時間帯をご紹介します。

桜に浮かぶ天守閣

春の丸岡城は、桜に囲まれた天守閣の姿が最もフォトジェニックです。天守の周囲を彩るソメイヨシノが満開になると、まるで城が桜の霞の中から浮かび上がっているかのような幻想的な風景が広がります。桜の見頃は3月下旬から4月上旬です。早朝に訪れると、人影も少なく、澄んだ空気の中で桜と天守閣の美しいコラボレーションを独り占めできるでしょう。夜間のライトアップ時は、闇夜に浮かび上がる天守と桜が、昼間とは異なる神秘的な美しさを見せます。

野づら積みの石垣の力強さ

現存天守の足元を支える野づら積みの石垣は、その迫力と歴史の重みが伝わる写真が撮れる場所です。石垣の力強い積み方をクローズアップしたり、天守閣を背景に石垣全体を収めたりすることで、丸岡城の堅固さを表現できます。

天守からの眺望

丸岡城天守の最上階からは、丸岡の城下町や周囲の田園風景、遠くには白山連峰まで見渡せる絶景が広がります。特に、晴れた日の午前中は、空気が澄んで遠くまで見通せ、雄大な景色を写真に収めることができます。窓枠を額縁のように使う構図や、広角レンズで開放的な風景を捉えるのもおすすめです。戦国武将たちがこの場所から見ていたであろう景色に、思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

お堀に映る逆さ天守

丸岡城の周囲を囲むお堀は、天守閣が水面に映り込む美しい「逆さ天守」を撮影できるスポットです。特に、風のない穏やかな日には、鏡のようにクリアなリフレクションが見られます。早朝や夕暮れ時の光が柔らかい時間帯に撮影すると、より幻想的な一枚が撮れるでしょう。桜の時期には、水面に桜の花びらが浮かび、さらに風情ある景色となります。

現地体験:博物館見学、歴史散策、地域の催し物など

丸岡城公園では、ただ景色を眺めるだけでなく、様々な体験を通じて福井の歴史と文化に触れることができます。五感を使って、この地の魅力を深く感じ取ってください。

丸岡城天守閣内部の見学

丸岡城最大の現地体験は、やはり現存する天守閣の内部を見学することです。急勾配の木製階段を上り下りしながら、当時の建築様式や、城の構造について学ぶことができます。天守内部の壁や柱には、福井地震で倒壊した際に再利用された材木が使われており、その歴史の重みを間近で感じられます。

最上階の望楼からは、丸岡の町並みを360度見渡すことができ、当時の城主になった気分を味わえるでしょう。天守の歴史や修復に関する展示パネルも充実しているので、じっくりと見学するのをおすすめします。

丸岡城歴史館の見学

丸岡城公園内には、丸岡城歴史館が併設されています。この資料館では、丸岡城の築城から廃城に至るまでの歴史、城主本多家の功績、そして福井地震からの復元に関する詳細な資料が展示されています。模型やジオラマ、映像資料なども活用されており、歴史に詳しくない方でも分かりやすく城の歴史を学べます。

お堀を巡る遊覧船体験

春の桜の時期には、丸岡城のお堀を巡る遊覧船が運航されることがあります。船上からは、お堀から見上げる天守閣の雄大さや、満開の桜が水面に映り込む美しい景色を堪能できます。水上から城を眺めることで、普段とは違う視点でその魅力を発見できるでしょう。運行期間や時間については、事前に公式ウェブサイトなどで確認することをおすすめします。

丸岡城古城まつりへの参加

毎年、丸岡城では「丸岡城古城まつり」が開催されます。この祭りでは、柴田勝家や本多成重に扮した武者行列が城下町を練り歩くほか、火縄銃演武や太鼓演奏など、戦国時代の雰囲気を再現する様々な催しが行われます。地元の伝統芸能も披露され、地域の人々が一体となって祭りを盛り上げます。特に、武者行列は迫力満点です。

交通手段:電車・乗合自動車・車での行き方、最寄り駅など

丸岡城公園へのアクセスは、福井市街地から少し離れていますが、いくつかの交通手段があります。ご自身の旅のスタイルに合わせて選ぶことができます。

電車でのアクセス

丸岡城の最寄り駅は、JR北陸本線の丸岡駅です。丸岡駅は、JR福井駅から普通列車でアクセスできます。特急列車は停車しないため、福井駅から乗り換えが必要です。丸岡駅から丸岡城公園までは、徒歩での移動は少し距離があります。駅からタクシーを利用するか、路線バスの利用を検討することをおすすめします。

乗合自動車(バス)でのアクセス

丸岡駅から丸岡城公園へ向かうには、京福バスを利用するのが便利です。丸岡駅前バス停から「丸岡城」停留所まで乗車できます。所要時間は10分程度と短く、手軽に利用できます。運行本数が限られている場合もあるため、事前に時刻表を確認することが重要です。バス停から丸岡城公園まではすぐなので、公共交通機関を利用すれば、駐車場の心配をすることなく、気軽に丸岡城を訪れることができます。

車でのアクセス

車で訪れる場合、北陸自動車道の丸岡ICが最寄りのインターチェンジです。丸岡ICからは、約5分から10分程度の所要時間で丸岡城公園に到着します。丸岡城公園には、無料の駐車場が整備されています。駐車場の台数も比較的多く、観光客でも利用しやすいでしょう。特に週末や観光シーズンは混雑することもありますが、公共交通機関の便を考えると、車でのアクセスが最も便利で一般的です。駐車スペースの確保を考慮し、早めの到着がおすすめです。

周辺の観光名所:徒歩・公共交通で行ける名所

丸岡城公園の周辺には、福井県の魅力をさらに深く味わえる観光名所が点在しています。丸岡城を訪れた際は、ぜひこれらの場所にも足を延ばしてみてください。

一筆啓上 茶屋(いっぴつけいじょうちゃや)

丸岡城公園のすぐ隣にある「一筆啓上 茶屋」は、丸岡城の歴史にちなんだお土産品や地元の特産品を販売する施設です。ここでは、丸岡城ゆかりの地酒や、福井県の銘菓などを購入できます。また、食事処も併設されており、地元の食材を使った軽食や、そばなどを味わうことができます。丸岡城見学の前後で立ち寄って、休憩やお土産探しをするのに最適な場所です。

越前竹人形の里(えちぜんたけにんぎょうのさと)

丸岡城から車で約15分程度の場所に位置する越前竹人形の里は、福井県の伝統工芸品である竹人形のテーマパークです。精巧に作られた竹人形の展示が見られるほか、竹細工体験なども楽しめます。

芝政ワールド(しばまさワールド)

丸岡城から車で約20分程度の場所に位置する芝政ワールドは、広大な敷地を持つレジャー施設です。夏には大規模なプールがオープンし、冬にはイルミネーションが輝くなど、年間を通して様々な楽しみ方ができます。

東尋坊(とうじんぼう)

福井県を代表する景勝地の一つである東尋坊は、丸岡城から車で約30分程度の場所に位置します。日本海の荒波によって削られた柱状節理の断崖絶壁は、その迫力に圧倒されることでしょう。遊覧船に乗って海上から断崖を眺めることもでき、また違った景色を楽しめます。夕日の時間帯には、空と海が茜色に染まり、息をのむ美しさとなります。丸岡城と合わせて、福井の自然の雄大さを満喫できる場所です。

永平寺(えいへいじ)

曹洞宗の大本山である永平寺は、丸岡城から車で約40分程度の場所に位置します。深い杉木立に囲まれた静謐な空間には、荘厳な伽藍が立ち並び、禅の修行道場として多くの僧侶が日々精進しています。厳かな雰囲気の中で、心静かに過ごせる場所です。座禅体験や写経体験なども可能です。日本の仏教文化に触れる貴重な体験となるでしょう。丸岡城とは異なる趣がありますが、福井を代表する観光地の一つです。

ご当地の味とおすすめ店:城の近くで楽しめる食事&喫茶店

丸岡城を訪れたら、ぜひ福井ならではのご当地グルメを味わってみてください。城の周辺には、美味しい食事が楽しめるお店や、休憩にぴったりの喫茶店が数多くあります。

越前そば(えちぜんそば)

福井県を代表するご当地グルメといえば、やはり「越前そば」です。大根おろしをたっぷり加えた辛味のあるつゆで食べるのが特徴で、香りの良いそばと辛味大根の組み合わせが絶妙です。シンプルな「おろしそば」は、福井の味を代表する一品です。

手打ち蕎麦処 盛安(もりやす)

丸岡城から比較的近い場所にある「手打ち蕎麦処 盛安」は、地元で人気の越前そばのお店です。石臼で丁寧に挽いたそば粉を使った手打ちそばは、香りが高く、コシも強いと評判です。定番のおろしそばはもちろん、温かいそばや天ぷらそばなども楽しめます。

丸岡古城そば まるふじ

丸岡城公園のすぐ近くにある「丸岡古城そば まるふじ」は、丸岡城を訪れた際に気軽に立ち寄れるそば処です。観光客にも人気があり、手打ちそばをリーズナブルな価格で提供しています。おろしそばのほか、かけそばやきつねそばなど、様々な種類のそばを味わえます。

ソースカツ丼(ソースカツどん)

福井県のもう一つのソウルフードとして外せないのが「ソースカツ丼」です。薄切りにした豚肉を揚げたカツを、特製の甘辛いソースにくぐらせ、ご飯の上にのせたシンプルな料理ですが、その美味しさは多くの人々を魅了します。ご飯とカツ、ソースの絶妙なバランスが特徴です。

ヨーロッパ軒 総本店(ヨーロッパけんそうほんてん)

福井市内にありますが、ソースカツ丼の元祖として知られる「ヨーロッパ軒 総本店」は、福井を訪れたら一度は行っておきたいお店です。丸岡城からは少し離れますが、福井駅からアクセス可能なので、旅の行程に組み込む価値は十分にあります。創業以来変わらぬ味を守り続けており、地元の人々はもちろん、観光客にも愛されています。

カフェテラス 霞(かすみ)

丸岡城公園のすぐ近くにある「カフェテラス 霞」は、城を眺めながら休憩できる喫茶店です。コーヒーや紅茶のほか、軽食やデザートも提供しています。特に、桜の時期には、窓から見える満開の桜が美しく、癒しの空間となるでしょう。城見学の後に、ゆったりと過ごすのに最適な場所です。

周辺名所への行き方:徒歩何分/交通手段などの簡潔な案内

丸岡城公園から周辺の観光名所へのアクセスについて、簡潔にまとめました。

  • 一筆啓上 茶屋: 丸岡城公園のすぐ隣、徒歩1分以内。
  • 越前竹人形の里: 丸岡城から車で約15分。
  • 芝政ワールド: 丸岡城から車で約20分。
  • 東尋坊: 丸岡城から車で約30分。
  • 永平寺: 丸岡城から車で約40分。
  • 手打ち蕎麦処 盛安: 丸岡城から車で数分。
  • 丸岡古城そば まるふじ: 丸岡城公園のすぐ近く、徒歩1分以内。
  • ヨーロッパ軒 総本店: 福井市内(丸岡城から電車・バス乗り換えで約40分~50分)。
  • カフェテラス 霞: 丸岡城公園のすぐ近く、徒歩1分以内。

まとめ:初心者にもおすすめの理由、旅の秘訣

丸岡城は、日本に現存する最古の建築様式を持つ天守閣として、歴史的価値が非常に高い城です。天守内部の見学や、歴史館での学習を通じて、城の深い歴史や人々の思いに触れることができます。また、桜の名所としても有名で、春には息をのむような絶景が広がります。アクセスも比較的便利であり、幅広い年代の方におすすめできる場所です。

丸岡城を訪れることで、戦国時代の息吹を感じ、日本の建築技術の粋を肌で感じられます。ぜひこの機会に、丸岡城を訪れてみてください。きっと素晴らしい思い出が作れます。

この記事を読んでいただきありがとうございました。

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