石垣美しき盛岡城跡!歴史と文化が薫る旅へ

戦国時代のお城 一覧

岩手県盛岡市に位置する盛岡城は、別名「不来方城(こずかたじょう)」とも呼ばれ、かつて南部氏二十万石の居城として栄えました。北上川と中津川が合流する丘陵上に築かれたこの城は、総石垣造りの堅固な城郭として知られ、東北地方における重要な拠点でした。現在は「盛岡城跡公園」として整備され、市民の憩いの場であると同時に、訪れる人々に歴史のロマンを感じさせてくれます。

初めて城を訪れる方も、歴史愛好家の方も、誰もがその雄大な石垣と豊かな自然に心惹かれるに違いありません。この記事では、盛岡城の奥深い歴史から、見どころ、さらには周辺の観光情報まで、余すことなくご紹介します。盛岡城を巡り、戦国の息吹と城下町の魅力に触れる旅へ出かけましょう。

この城跡の壮大な石垣と、そこに秘められた物語を知れば、きっと忘れられない思い出が作れます。さあ、盛岡城の魅力を一緒に探ってみませんか。

盛岡城の歴史:誰がいつ築き、どんな役割を果たしたか

盛岡城は、慶長二年(1597年)に初代盛岡藩主である南部信直(なんぶのぶなお)が築城を開始しました。その後、嫡男の利直(としなお)が築城を引き継ぎ、慶長三年(1598年)から貞享三年(1686年)にかけて拡張を続け、総石垣の城としてほぼ完成に至りました。築城にあたっては、豊臣秀吉の重臣である浅野長政が助言したと伝わります。城は、北上川と中津川の合流点にある丘陵上に築かれ、本丸や二の丸、三の丸といった曲輪を直線状に配する連郭式の縄張り(城の設計)が特徴です。

この城は、南部氏が津軽地方の領有を巡る戦乱の時代を乗り越え、二十万石の藩政を確立する上で、極めて重要な役割を果たしました。盛岡城は、江戸時代を通じて南部藩の拠点として機能し、歴代藩主が居城しました。地名も、利直によって「盛り上がり栄える岡」という願いを込めて、古くからの「不来方(こずかた)」から「盛岡」に改められました。明治維新後、廃藩置県により廃城となり、多くの建物は解体されましたが、その強固な石垣は今も残り、当時の姿を偲ばせます。

明治三十九年(1906年)には「岩手公園」として開園し、昭和十二年(1937年)には国の史跡に指定されました。その後、2006年には「盛岡城跡公園」として愛称が定められ、歴史公園として多くの人々に親しまれています。この歴史の舞台で、激動の時代を生き抜いた武将たちの息吹に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

見どころ紹介:石垣、堀などの特徴と魅力

盛岡城には、残念ながら天守などの建物は現存しません。しかし、東北地方では珍しい総石垣の城であり、その雄大な石垣が最大の魅力です。本丸、二の丸、三の丸のそれぞれの郭を囲むように築かれた石垣は、岩手山から切り出された花崗岩(かこうがん)を積み上げたものです。築石の間には栗石がぎっしりと詰められており、水はけを良くし、地震の揺れを和らげる工夫が凝らされていると伝えられます。その高さと規模には、目を見張るばかりです。

特に、二の丸の石垣は、城内でも最も高く、その迫力に圧倒されます。石垣の積み方にも特徴があり、初期には野面石(のづらいし)を多く用い、後年には表面を丁寧に加工した規格材を使用するなど、築城時期による違いが見られます。これらの石垣を巡りながら散策すると、当時の築城技術の高さや、堅固な防御を追求した武将たちの知恵が感じられることでしょう。

城跡には、かつて外堀の一部であった水堀も残されており、石垣とのコントラストが美しい景観を作り出しています。また、三の丸跡に鎮座する「烏帽子岩(えぼしいわ)」は、築城の際に発見されたと伝わる巨大な石であり、盛岡のシンボルの一つとして崇敬されています。城内には説明板も設置されており、当時の役割や構造について学びながら散策ができます。歴史の重みと、そこに息づく自然の美しさを肌で感じられる場所です。

映える撮影スポット:人気の撮影場所や時期・時間帯のおすすめ

盛岡城跡公園は、四季折々の美しい表情を見せるため、写真愛好家にとって人気の撮影スポットです。特に、雄大な石垣と周囲の自然が織りなすコントラストは、素晴らしい被写体となります。石垣を背景に、広角レンズでその全景を収めるのがおすすめです。

春には、城跡公園内に植えられた桜が満開となり、ピンク色に染まる石垣は息をのむような美しさです。特に、夜にはライトアップが行われ、幻想的な夜桜と石垣のコラボレーションを楽しめます。この時期は多くの観光客で賑わうため、早朝や夕暮れ時を狙うと、より落ち着いて撮影できます。夏には、青々とした木々の緑が石垣を覆い、清々しい風景が広がります。木々の間から差し込む木漏れ日が、石垣に美しい陰影を落とします。

秋には、紅葉が城跡を彩り、赤や黄色、オレンジ色のグラデーションが壮大な歴史遺構と見事な調和を見せます。冬には、雪に覆われた白銀の城跡が幻想的な美しさを見せます。静寂の中で雪化粧をまとった石垣は、墨絵のような趣があり、独特の雰囲気を醸し出します。どの季節に訪れても、盛岡城跡公園はあなたを魅了します。

現地体験:催し物、展示など観光体験

盛岡城跡公園では、常設の甲冑試着体験などは少ないですが、年間を通じて様々な催し物や展示が開催され、歴史や文化に触れる機会を提供しています。特に、公園内にあるもりおか歴史文化館は、盛岡城や南部藩の歴史、そして盛岡のまちの成り立ちについて深く学べる重要な施設です。

もりおか歴史文化館では、盛岡城の模型や、南部氏ゆかりの武具、古文書などが展示されており、当時の暮らしや文化を肌で感じられます。企画展も定期的に開催され、特定のテーマに沿った深い知識を得ることも可能です。また、公園内では、春の桜まつりや秋の紅葉まつりなど、季節ごとのイベントが開催され、多くの人で賑わいます。これらの祭りでは、地元の人々の伝統芸能が披露されたり、特産品が販売されたりすることもあります。

さらに、盛岡城跡公園は、石川啄木や宮沢賢治といった盛岡ゆかりの文豪たちに愛された場所でもあります。園内には、彼らの歌碑や句碑が点在しており、文学的な視点から城跡を散策するのも良いでしょう。特に、啄木の代表歌「不来方のお城の草に寝ころびて 空に吸はれし 十五の心」の歌碑は、多くの人々に親しまれています。城跡を巡る際には、散策路が整備されているため、自分のペースでじっくりと見学できます。歴史と文学、そして自然が融合したこの場所で、心に残るひとときを過ごしてください。

交通手段:電車・乗合自動車・車での行き方、最寄り駅など

盛岡城跡公園へのアクセスは、非常に便利です。

電車を利用する場合: JR盛岡駅が最寄り駅となります。東北新幹線、秋田新幹線、JR東北本線、JR田沢湖線、IGRいわて銀河鉄道が乗り入れており、各方面からのアクセスが容易です。盛岡駅から盛岡城跡公園までは、バスまたは徒歩でアクセスできます。

乗合自動車を利用する場合: 盛岡駅東口バス乗り場から、盛岡市中心市街地循環バス「でんでんむし」に乗車し、「盛岡城跡公園前」バス停で下車すると、目の前が公園の入り口です。所要時間は約10分です。運賃は一乗車130円と手頃で、約20分間隔で運行しているため、気軽に利用できます。また、交通系ICカードも利用可能です。

車を利用する場合: 東北自動車道「盛岡インターチェンジ」から約15分から20分で盛岡城跡公園に到着します。公園の地下には有料駐車場が整備されており、安心して駐車できます。カーナビゲーションシステムに「盛岡城跡公園」と入力すれば、迷うことなく辿り着けるでしょう。盛岡市内は一方通行が多い場所があるため、事前に地図を確認しておくとスムーズです。

どの交通手段を選ぶにしても、盛岡城跡公園は盛岡市の中心部に位置するため、アクセスに困ることはありません。特に「でんでんむし」バスは、盛岡市内の主要な観光スポットを結んでいるため、観光には大変便利です。

周辺の観光名所:徒歩・公共交通で行ける名所

盛岡城跡公園を訪れたなら、周辺の魅力的な観光名所もぜひ巡ってみてください。城跡公園周辺には、徒歩や公共交通機関で気軽にアクセスできる見どころが豊富に存在します。

石割桜: 盛岡地方裁判所敷地内にある、巨大な花崗岩の割れ目からエドヒガンザクラが生えた珍しい桜です。盛岡城跡公園から徒歩約5分です。樹齢360年を超えると言われるその生命力に、感動を覚えること請け合いです。春の開花時期には、多くの観光客が訪れる人気のスポットです。

もりおか歴史文化館: 盛岡城跡公園のすぐ隣に位置しており、盛岡の歴史や文化について深く学べる施設です。徒歩すぐです。盛岡城に関する展示も充実しており、城巡りの理解を深める上で欠かせない場所です。

岩手銀行赤レンガ館: 明治時代に建てられた、辰野金吾設計の美しい赤レンガ建築物です。盛岡城跡公園から徒歩約10分です。かつての銀行店舗であり、現在はイベントスペースやショップとして活用されています。その壮麗な外観は、写真映えすること間違いありません。夜にはライトアップされ、幻想的な雰囲気を醸し出します。

中津川: 盛岡城のすぐそばを流れる清流であり、城下町を形成する上で重要な役割を果たしました。川沿いは遊歩道として整備されており、散策に最適です。特に、鮭が遡上する秋には、その姿を見られることがあります。盛岡のシンボルである岩手山と合わせて、美しい自然を満喫できます。

紺屋町番屋: 明治時代に建てられた、消防屯所として使われていた建物です。盛岡城跡公園から徒歩約15分、中津川沿いの風情ある紺屋町に位置します。独特の木造建築と赤い扉が特徴で、レトロな雰囲気が漂います。現在も消防団が利用する現役の施設であり、当時の面影を今に伝えます。

これらのスポットを巡ることで、盛岡城の歴史探訪だけでなく、盛岡市の豊かな自然や文化、歴史も満喫できます。

ご当地の味とおすすめ店:城の近くで楽しめる食事&喫茶店

盛岡城周辺には、盛岡ならではの美味しいご当地グルメを楽しめるお店が点在しています。城巡りの疲れを癒し、地元の味を堪能するのも旅の醍醐味です。

盛岡三大麺: 盛岡を訪れたなら、外せないのが「盛岡冷麺」「じゃじゃ麺」「わんこそば」の三大麺です。

  • 盛岡冷麺: 盛岡駅周辺には「ぴょんぴょん舎」や「盛楼閣」など、人気の冷麺店が集中しています。弾力のある麺と、牛骨ベースのあっさりとしたスープが特徴です。
  • じゃじゃ麺: 味噌ベースの肉味噌とキュウリ、ネギなどを混ぜて食べる独特の麺料理です。「白龍(パイロン)」などが有名です。食べ終わった後に「ちーたんたん」と呼ばれるスープを加えて味を変化させるのが楽しいです。
  • わんこそば: 小さなお椀に入ったそばを、お給仕さんの掛け声に合わせてひたすら食べる体験型の郷土料理です。「東家(あずまや)」などで楽しめます。

これらの麺料理は、盛岡城跡公園から盛岡駅周辺へ向かう途中の飲食店街で多く見られます。

福田パン: 盛岡市民に愛されるソウルフード「コッペパン」の専門店です。様々な種類のあんや具材を選んで、自分好みのオリジナルパンを作ってもらえます。盛岡城跡公園からも比較的近く、地元の方にも人気の高いお店です。

喫茶店: 盛岡市街地には、レトロな雰囲気の喫茶店や、こだわりのコーヒーを提供するカフェも多く存在します。城巡りの後に、温かいコーヒーを飲みながら、旅の思い出を振り返るのも良いものです。地元の食材を使ったスイーツや、手作りの焼き菓子を提供しているお店もあります。観光案内所で、最新のおすすめ店情報を尋ねるのも良い方法です。

これらの美食体験を通して、盛岡城の旅をさらに豊かなものにしてください。

周辺名所への行き方:徒歩何分/交通手段などの簡潔な案内

盛岡城跡公園を拠点として、周辺の観光名所へのアクセスを簡潔に紹介します。

  • 石割桜:
    盛岡城跡公園から徒歩約5分。
  • もりおか歴史文化館:
    盛岡城跡公園の隣接地に位置しており、徒歩すぐです。
  • 岩手銀行赤レンガ館:
    盛岡城跡公園から徒歩約10分。
  • 中津川:
    盛岡城跡公園のすぐそばを流れており、徒歩すぐです。
  • 紺屋町番屋:
    盛岡城跡公園から徒歩約15分。中津川沿いを散策しながらアクセスできます。

これらの名所は、盛岡城跡公園を中心に徒歩圏内に点在しています。また、盛岡駅を起点とする「でんでんむし」バスを利用すると、さらに広範囲の観光スポットへ効率よく移動できます。

まとめ:初心者にもおすすめの理由、旅の秘訣

盛岡城跡公園は、歴史に詳しくない方でも十分に楽しめる、魅力あふれる史跡です。天守は現存しませんが、東北地方では珍しい総石垣の城であり、その雄大な石垣は訪れる人々を圧倒します。整備された公園内を歩けば、歴史の重みを肌で感じながら、四季折々の美しい自然を満喫できます。特に、春の桜、秋の紅葉は必見であり、言葉にできない感動を与えてくれます。

初めて城を訪れる方でも、もりおか歴史文化館で城の歴史を学ぶことができ、園内の説明板も充実しているため、無理なく楽しめます。また、周辺には石割桜や岩手銀行赤レンガ館、そして盛岡三大麺や福田パンといった魅力的な観光スポットやグルメが豊富にあり、歴史と文化、そして美食を一度に楽しめます。旅の秘訣は、時間にゆとりを持って、城跡の隅々までじっくりと散策することです。その上で、地元のおいしい料理を味わい、盛岡の魅力を存分に堪能することに尽きます。

歴史のロマンと美しい風景、そして美食に満ちた盛岡城への旅は、きっと忘れられない思い出となるに違いありません。この機会にぜひ、盛岡の地へ足を運んでみてください。

この記事を読んでいただきありがとうございました。

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