武将が陥りやすい三大失敗として、武田信玄は次の三点を挙げています。
一、分別あるものを悪人と見ること
一、遠慮あるものを臆病と見ること
一、軽躁なるものを勇剛と見ること
これらは、リーダーとして避けるべき誤った判断や考え方を示しており、信玄がどれだけ深い洞察を持っていたかを物語っています。
1. 分別あるものを悪人と見ること
リーダーが陥りやすい失敗の一つは、正直で忠実な人の意見を無視し、耳に心地よい言葉だけを受け入れてしまうことです。リーダーの周囲には、ゴマすりをする人ばかりが集まりがちですが、信玄は耳に痛い忠言をくれる人こそ大切にしなければならないと説いています。
リーダーとして正しい判断を下すためには、必要な時に異論を唱えてくれる本当に正直な人間が必要です。そのためには、自分の意見に簡単に同意する人たちばかりでなく、率直な意見を述べてくれる人を受け入れる懐の広さを持つべきです。
2. 遠慮あるものを臆病と見ること
現代社会では、自己主張をしない人が目立たず、認められにくいという風潮があります。しかし、信玄は謙虚で遠慮深い人が慎重でありながら、実は深い努力を重ね続けていることを理解すべきだと言います。謙虚な人は、自分を前面に出さずとも、その努力と実力が周囲に自然と伝わるものです。
リーダーは謙遜や遠慮をする人を臆病と見なすのではなく、その行動の背景や理由をよく理解することが大切です。謙虚な人は、慎重に行動し、安易な安請け合いを避け、正確な判断力を持っています。
3. 軽躁なるものを勇豪と見ること
自信満々で目立ちたがりな人物が、しばしばリーダーシップを持っていると誤解されがちです。しかし、信玄はこうした軽躁な態度を見抜き、ただの自信過剰であることを警戒しました。話が上手で人を惹きつける人も、実際には頼りにならないことが多いのです。
リーダーは、口先だけで期待を持たせる人ではなく、実力を持った人物を見極め、その人に任せるべきです。自分一人で全てをこなすのではなく、適材適所で責任を分担することがリーダーの資質を高めます。
まとめ:リーダーとしての賢明な判断
信玄の名言は、リーダーが陥りやすい誤った判断を示すとともに、いかにして自分の周囲に適切な人材を見極め、適切な方法でチームを導くべきかを教えてくれます。
リーダーとしては、耳に痛い忠告を受け入れ、謙虚で慎重な人の価値を理解し、軽躁な態度を避けることが、組織を健全に導く鍵となります。
この記事を読んでいただきありがとうございました。
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