佐賀県佐賀市に位置する「佐賀城」は、江戸時代初期に佐賀藩主鍋島勝茂によって築かれ、以来270年以上にわたり佐賀藩鍋島氏の居城として栄えました。天守閣は現存しませんが、二度の焼失と再建を経て、現在は本丸御殿が日本で初めて木造復元され「佐賀城本丸歴史館」として公開されています。水堀に囲まれた平城でありながら、その規模は広大で、特に鯱をいただく大手門(鯱の門)はかつて日本最大の大きさを誇りました。
幕末維新期には、佐賀藩が近代日本の礎を築く上で重要な役割を果たし、佐賀城はその歴史の舞台となりました。この記事では、佐賀城の深い歴史から見どころ、美しい撮影スポット、そして周辺の魅力的な観光地やご当地グルメまで、佐賀城を心ゆくまで楽しむための情報をお届けします。ぜひ佐賀城で、維新の息吹と壮大な歴史を感じる旅を体験してください。
佐賀城の歴史:鍋島氏の拠点と近代化の礎
鍋島氏による築城と城下町の発展
佐賀城の歴史は、関ヶ原の戦い後に肥前国佐賀藩の藩主となった鍋島勝茂によって、江戸時代初期に本格的に築城が始まったことに端を発します。かつては龍造寺氏の居城であった村中城を拡張・改修し、慶長16年(1611年)頃に現在の佐賀城の基礎が築かれました。
水堀を巧みに利用した広大な平城であり、特に北側に位置する「鯱の門」は、その名の通り巨大な鯱をいただく威容を誇り、日本最大級の規模を誇りました。佐賀城は、以来明治維新までの約270年間、鍋島氏35万7千石の居城として、佐賀の政治・経済・文化の中心地として大いに栄えました。城下町も計画的に整備され、活気あふれる都市へと発展を遂げました。
二度の焼失と本丸御殿の復元
佐賀城は、江戸時代に二度の大きな火災に見舞われました。寛政4年(1792年)と、嘉永6年(1853年)の火災により、天守閣を含む多くの建物が焼失しました。特に二度目の火災では本丸御殿の大部分が焼失しましたが、その直後に再建されたのが、現在の佐賀城本丸歴史館として復元された建物群です。
明治維新後、廃城令により城内の建物はほとんどが撤去されましたが、佐賀県民の強い願いと努力により、2004年(平成16年)に日本で初めて本丸御殿が木造で忠実に復元され、「佐賀城本丸歴史館」として開館しました。これは、当時の御殿の姿を今に伝える貴重な取り組みとして評価されています。
幕末維新期における佐賀藩の役割
江戸時代後期、幕末の動乱期において、佐賀藩は優れた科学技術力と人材を背景に、日本の近代化に大きく貢献しました。反射炉、大砲、蒸気船などの製造に成功し、幕末三大砲術といわれる「アームストロング砲」の国産化にも成功するなど、その技術力は日本トップレベルでした。
佐賀藩は「肥前さがんもん」と称される負けじ魂で、大隈重信、江藤新平、大木喬任、副島種臣といった明治維新の「七賢人」と称される人材を輩出し、明治政府の要職を占め、近代日本の礎を築きました。佐賀城は、これらの偉業が育まれた歴史の舞台として、今もその息吹を伝えています。
佐賀城の見どころ:日本最大の鯱と復元された本丸御殿
佐賀城は天守閣が解体された城跡ですが、その広大な敷地と復元された本丸御殿、そして残された石垣や堀など、見どころが豊富です。城内を巡ることで、当時の築城技術や、城を守る工夫を肌で感じられます。
日本最大の鯱をいただく「鯱の門」と「鯱の門・続櫓」
佐賀城の象徴である「鯱の門」は、その名の通り、かつて日本最大の大きさを誇る木製の鯱を門の上に頂いていました。現在の門は1838年(天保9年)に再建されたもので、国の重要文化財に指定されています。門の脇には「鯱の門・続櫓」があり、内部を見学することができます。この櫓は、当時の城の防御機能や、武士たちの生活空間を肌で感じられる貴重な場所です。門をくぐりながら、かつての威容に思いを馳せてみてください。
木造復元された「佐賀城本丸歴史館」
佐賀城最大の魅力の一つは、日本で初めて木造で復元された本丸御殿が「佐賀城本丸歴史館」として公開されていることです。延べ床面積2500平方メートルに及ぶ広大な建物は、当時の藩主の生活空間や執務空間、そして大広間などが忠実に再現されています。
館内では、佐賀藩の歴史や、幕末維新期における近代化への取り組み、そして佐賀出身の偉人たちに関する豊富な資料が展示されており、プロジェクションマッピングなどの映像資料も活用して分かりやすく学ぶことができます。当時の武家文化や暮らしを肌で感じながら、ゆっくりと見学を楽しめます。
広大な堀と石垣
佐賀城は、水堀に囲まれた平城でありながら、その堀は非常に広大で、当時の城の防御機能を今に伝えています。堀に沿って散策することで、城の広がりや、複雑な縄張りを実感できます。また、城の周囲には当時の石垣も残されており、その堅固な造りから歴史の重みを感じられます。広々とした空間で、歴史のロマンに浸りながら散策するのも楽しみ方の一つです。
佐賀城の映える撮影スポット:歴史と自然が織りなす情景を記録する
佐賀城跡は、その広大な敷地と復元された本丸御殿、そして豊かな自然が調和し、一年を通じて様々な表情を見せる撮影スポットに溢れています。訪れる時期や時間帯によって、異なる魅力的な写真を撮影できます。
鯱の門と歴史の風格
佐賀城のシンボルである「鯱の門」は、その重厚な佇まいが歴史の風格を感じさせる被写体です。特に、空が青く澄み渡る日中や、夕暮れ時のマジックアワーには、門の陰影が美しく際立ち、絵になる一枚を撮影できます。門の脇に立つ石碑や、門に続く石畳なども、趣のある写真を演出します。
本丸御殿の美しい瓦屋根と白壁
木造復元された佐賀城本丸御殿は、その美しい瓦屋根と白壁が印象的です。建物の外観全体を捉えるのはもちろん、細部の瓦や木組み、そして窓から見える庭園などを切り取って撮影するのもおすすめです。特に、天気の良い日には、白い壁が青空に映え、美しいコントラストを作り出します。
水堀と広大な城跡のパノラマ
佐賀城の広大な水堀は、城跡の雄大さを感じさせる撮影スポットです。堀の水面に映る城郭や、周囲の木々とのコントラストは、美しい一枚を演出します。特に、堀の橋の上から城を望むアングルは、堀の広がりを活かした雄大な写真を撮影できます。桜の季節には、堀沿いの桜並木が水面に映り込み、幻想的な風景が広がります。
佐賀城での現地体験:歴史散策と文化の触れ合い
佐賀城では、ただ歴史的建造物を見て回るだけでなく、様々な体験を通して、その歴史や地域の文化に深く触れることができます。五感を使って、城の魅力を存分に味わいましょう。
佐賀城本丸歴史館での体験学習
佐賀城本丸歴史館は、単なる博物館ではなく、体験を通じて歴史を学べる施設です。復元された広大な御殿の空間を自由に歩き、当時の藩主の生活や執務の様子を想像できます。また、館内では、佐賀藩の技術力を紹介する展示や、幕末の偉人たちの紹介、そして当時の生活を再現したジオラマなど、多岐にわたる展示があります。
プロジェクションマッピングなどの最新技術も活用されており、大人から子供まで楽しみながら歴史を学べます。イベントや企画展も頻繁に開催されているので、事前にチェックして訪れるのがおすすめです。
鯱の門・続櫓内部の見学
国の重要文化財である鯱の門と続櫓は、内部を見学することができます。櫓の内部からは、当時の防衛の仕組みや、城壁の構造などを間近で見ることができ、城の堅固さを実感できます。また、櫓の窓から城下町を眺めることで、当時の武士たちが何を見ていたのか、思いを馳せてみてください。
城跡公園での散策と歴史探訪
佐賀城跡は「佐賀城公園」として整備されており、広大な敷地内をゆっくりと散策するのがおすすめです。復元された本丸御殿以外にも、当時の石垣や堀などが残されており、かつての城の広大な規模と堅固さを肌で感じられます。
佐賀城への交通手段:スムーズなアクセス方法
佐賀城へのアクセスは、公共交通機関でも車でも非常に便利です。ご自身の旅のスタイルや、他の観光地への移動計画に合わせて、最適な方法を選んでください。
バスでの行き方
佐賀城の最寄りのバス停は、佐賀市営バス「佐賀城跡」または「佐賀城本丸歴史館」バス停です。JR「佐賀駅」バスセンターから多くの路線バスが出ており、約10分〜15分で到着します。佐賀駅から佐賀城までは徒歩で約20分〜25分程度でもアクセス可能です。
車での行き方と駐車場情報
お車でお越しの場合、長崎自動車道「佐賀大和IC」から国道263号経由で約20分、または「佐賀東部広域農道」から約15分で佐賀城周辺に到着します。佐賀城本丸歴史館には、専用の無料駐車場があります。普通車約200台以上駐車可能で、大型バスも駐車できます。休日や観光シーズンでも比較的駐車しやすいですが、イベント開催時には混雑することもあるため、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
佐賀城周辺の観光名所:歴史と文化、食を満喫する
佐賀城の周辺には、他にも魅力的な観光名所がたくさんあります。佐賀城と合わせて訪れて、佐賀市全体の奥深い魅力をさらに感じてみてください。
佐賀県立博物館・美術館:佐賀の文化と芸術に触れる
佐賀城公園内に隣接する「佐賀県立博物館・美術館」は、佐賀の歴史、民俗、自然、そして美術を総合的に展示する複合施設です。佐賀城の歴史はもちろん、佐賀藩の文化や、佐賀ゆかりの美術家の作品などに触れることができます。企画展も頻繁に開催されており、訪れるたびに新たな発見があるでしょう。佐賀城と合わせて訪れることで、佐賀の文化をより深く理解できます。
佐賀県庁展望ホール:佐賀市街を一望
佐賀市中心部にある「佐賀県庁」の最上階(13階)には、展望ホールがあります。ここからは、佐賀市街はもちろん、遠くの多良岳や有明海まで見渡せる360度の大パノラマが広がります。特に夜景は美しく、きらめく街の灯りが幻想的な雰囲気を醸し出します。佐賀城からもアクセスしやすく、昼夜問わず楽しめるスポットです。
佐賀市立図書館:歴史的建造物と知の空間
佐賀城からほど近い場所にある「佐賀市立図書館」は、明治期に建てられた旧佐賀県庁の建物を利用した図書館です。赤レンガ造りの美しい外観が特徴で、歴史的な雰囲気の中で読書や学習ができます。図書館の敷地内には、当時の建物の一部も残されており、歴史的な趣を感じながら散策できます。レトロな建物の前での撮影もおすすめです。
ご当地の味とおすすめ店:佐賀城の近くで楽しめる食事
佐賀城周辺には、佐賀ならではの美味しい料理を楽しめるお店がたくさんあります。観光の合間に、ぜひ地元の味を堪能してください。
佐賀牛:とろけるようなA5ランクの贅沢
佐賀県が誇るブランド牛「佐賀牛」は、きめ細やかな霜降りと、とろけるような柔らかさが特徴です。A5ランク、BMS(牛脂肪交雑基準)10以上という厳しい基準を満たした最高級の牛肉で、ステーキや焼肉、すき焼きなどで味わうことができます。佐賀市内の高級レストランや、焼肉店などで、ぜひその贅沢な味を体験してください。
呼子イカ:透明な活き造りの美しさ
佐賀県の北部に位置する呼子(よぶこ)町はイカの町として有名で、新鮮な「呼子イカ」は佐賀を代表する海の幸です。特に、透明でコリコリとした食感の活き造りは絶品です。佐賀市内の和食店や、呼子まで足を延ばせば、より新鮮なイカを味わえます。お刺身だけでなく、天ぷらや塩焼きなども人気です。
シシリアンライス:佐賀のソウルフード
「シシリアンライス」は、佐賀市のご当地グルメとして親しまれているソウルフードです。温かいご飯の上に、炒めた牛肉や玉ねぎを乗せ、その上にレタスやトマトなどの生野菜、そしてマヨネーズをかけるのが特徴です。カフェやレストランなど、佐賀市内の多くの飲食店で提供されており、お店ごとに異なる味を楽しめます。手軽に佐賀の味を体験できる一品です。
周辺名所への行き方:移動もスムーズに
佐賀城周辺の観光名所への移動は、徒歩や公共交通機関を利用することで非常にスムーズに行えます。佐賀市の中心部にあり、アクセスが良好なため、効率的に観光を楽しめます。
佐賀県立博物館・美術館へのアクセス
佐賀県立博物館・美術館は佐賀城公園内に隣接しており、佐賀城本丸歴史館から徒歩で約5分程度の距離です。
佐賀県庁展望ホールへのアクセス
佐賀県庁は佐賀城から徒歩で約10分〜15分程度の距離にあります。市街地を散策しながら向かうのがおすすめです。
佐賀市立図書館へのアクセス
佐賀市立図書館は佐賀城から徒歩で約5分〜10分程度の距離です。
まとめ:初心者にもおすすめの佐賀城、旅の秘訣
佐賀城は、かつて日本最大の鯱をいただく大手門を誇り、広大な水堀に囲まれた独特の平城です。天守閣は現存しませんが、日本で初めて木造で忠実に復元された本丸御殿が「佐賀城本丸歴史館」として公開され、当時の藩主の暮らしや、佐賀藩の近代化への取り組みを深く学べます。幕末維新期には、日本の近代化を牽引した佐賀藩の歴史の舞台となり、多くの偉人を輩出した場所でもあります。
見どころが多く、周辺の博物館や美術館、そして佐賀牛や呼子イカといった美味しいグルメを合わせて一日中楽しめる場所ですので、旅の際はぜひ時間にゆとりを持ってお越しください。歴史に触れ、美しい景色を眺め、佐賀ならではの美味しい料理を味わう。そんな佐賀城への旅は、かけがえのない思い出となるはずです。ぜひ、佐賀城で維新の息吹と壮大な歴史に触れてみてください。
この記事を読んでいただきありがとうございました。