高知城の魅力探訪:現存天守と追手門が揃う唯一無二の城

戦国時代のお城 一覧

高知県高知市にそびえる「高知城」は、江戸時代初期に築城された城郭がほぼ完全に現存する、全国でも稀有な存在です。天守と追手門が共に現存する城としては全国で唯一、国の重要文化財に指定されています。土佐藩主山内一豊によって築かれ、以来260年以上にわたり土佐藩山内氏の居城として、政治・経済・文化の中心地として栄えました。

現在の天守は宝永の火災後に再建されたものですが、築城当初の姿を今に伝える貴重な文化財として、その歴史的価値は計り知れません。城内には、美しい天守はもちろんのこと、当時からの石垣や堀、そして藩主の住居であった「懐徳館」など、見どころが満載です。

この記事では、高知城の深い歴史から見どころ、美しい撮影スポット、そして周辺の魅力的な観光地やご当地グルメまで、高知城を心ゆくまで楽しむための情報をお届けします。ぜひ高知城で、現存する歴史の重みと土佐の息吹を感じる旅を体験してください。

高知城の歴史:一豊の築城と土佐の拠点

山内一豊による築城と土佐入国

高知城の歴史は、関ヶ原の戦いの功績により土佐一国を与えられた山内一豊によって、慶長6年(1601年)に築城が始まったことに端を発します。一豊は、以前の居城であった浦戸城が手狭であったため、高知の地を新たな居城に定め、大高坂山(現在の城山)に城郭の建設と城下町の整備に着手しました。

慶長10年(1605年)に天守が完成し、以降、土佐藩山内氏の居城として、政治・経済・文化の中心地として大いに栄えました。彼は治水事業にも力を入れ、現在の高知市街地の基礎を築き上げました。

宝永の火災と再建

しかし、宝永4年(1707年)に発生した大火災により、高知城は天守をはじめとする多くの建物が焼失するという甚大な被害を受けました。当時の藩主であった山内豊房は、藩財政が逼迫する中で再建を決断し、宝永6年(1709年)から享保8年(1723年)にかけて、約15年の歳月をかけて天守や本丸御殿などを再建しました。

現在の高知城の天守や本丸御殿、追手門などは、この再建時の建物が今日まで現存しているものです。焼失前の図面に基づき忠実に再建されたため、築城当初の姿をほぼそのままに伝えています。

明治維新と現存城郭としての継承

明治維新の廃城令により、全国の多くの城が取り壊される中、高知城は天守、追手門、そして本丸御殿を含む主要な建物が取り壊しを免れ、奇跡的に現存することとなりました。これは、当時の人々の努力と、その歴史的価値が早くから認識されていたためと言われています。

高知城は、天守と追手門が共に現存する全国で唯一の城であり、本丸の建物群も完全な形で残っていることから、国の重要文化財に指定されています。現在、高知城は「高知県立高知城歴史博物館」と連携し、土佐の歴史と文化を伝える重要な拠点として、多くの人々にその姿を見せています。

高知城の見どころ:現存天守と追手門、そして本丸御殿

高知城は、奇跡的に現存する天守と追手門、そして本丸御殿など、見どころが非常に豊富です。城内を巡ることで、江戸時代の築城技術や、当時の武士たちの暮らしを肌で感じられます。

日本に12しかない「現存天守」

高知城の最大の魅力は、その美しい現存天守です。望楼型四層六階の天守は、白漆喰塗りの壁と、複雑な屋根の構造が特徴で、その威風堂々とした姿は訪れる人々を圧倒します。天守内部は、当時の建築構造がそのまま残されており、急な階段を登りながら、歴史の重みを感じられます。最上階の望楼からは、高知市街はもちろん、太平洋まで見渡せる360度の大パノラマが広がります。ここからの眺めは、登り切った方だけが味わえる格別の感動を与えてくれます。

天守と追手門が揃う唯一の城

高知城は、全国の城の中でも珍しく、天守と追手門が共に現存する唯一の城です。追手門は、城の正面玄関であり、その規模や格式は藩の威厳を示しています。門をくぐり、石段を登りながら天守へと向かう道のりは、当時の武士たちが城へ入る際の感覚を追体験させてくれます。門の細部まで見学することで、当時の建築技術の高さと、敵の侵入を防ぐための工夫を感じられます。

完全現存する「本丸御殿」と「懐徳館」

高知城のもう一つの大きな見どころは、本丸にある「懐徳館(かいとくかん)」です。これは、藩主の住居であった本丸御殿の一部が現存するもので、藩主が実際に生活し、執務を行っていた空間を間近で見学できます。

現存する本丸御殿としては全国的にも稀有な存在で、当時の間取りや襖絵、障子などがそのまま残されており、江戸時代の武家文化や暮らしを肌で感じられます。御殿の縁側から美しい庭園を眺めることもでき、静かで落ち着いた空間で歴史に浸れます。

計算された城郭構造「三の丸」

高知城の城郭は、戦国時代の築城技術を取り入れた「本丸」を中心に、二の丸、三の丸と段階的に防御が固められた構造になっています。特に三の丸の石垣は、自然の地形を巧みに利用し、複雑なS字カーブを描いており、城を攻める敵を混乱させる工夫が凝らされています。これらの石垣や堀を巡ることで、当時の堅固な防御力を実感できます。

高知城の映える撮影スポット:光と影が織りなす絶景を記録する

高知城は、その現存する美しい天守と広大な敷地、そして周囲の自然との調和から、一年を通じて様々な表情を見せる撮影スポットに溢れています。訪れる時期や時間帯によって、異なる魅力的な写真を撮影できます。

追手門と天守のツーショット

高知城を代表する撮影スポットは、追手門越しに天守を望むアングルです。現存する追手門と天守が同時に写真に収まるのは、高知城ならではの光景です。特に、朝の光が天守に当たり、門の陰影が美しく際立つ時間帯がおすすめです。桜の季節には、門と天守の間に満開の桜が加わり、さらに華やかな一枚を撮影できます。

城山の緑と天守のコントラスト

高知城は城山という小高い山の上に築かれているため、城山を少し離れた場所から眺めると、豊かな緑の中に立つ天守が美しく映えます。特に、天守の白漆喰が青空や緑の木々に鮮やかに映える日中は、清々しい写真を撮影できます。四季折々の城山の表情に合わせて、様々なアングルで撮影を楽しんでみてください。

夜の高知城ライトアップ

夜の高知城は、昼間とは異なる幻想的な表情を見せます。天守や追手門がライトアップされ、闇夜に浮かび上がる姿は、息をのむ美しさです。特に、天守の窓から漏れる光と、周囲の闇とのコントラストが、ロマンチックな雰囲気を醸し出します。夜間開場されている期間やイベントに合わせて訪れると、特別な一枚を撮影できます。

高知城での現地体験:歴史散策と文化の触れ合い

高知城では、ただ歴史的建造物を見て回るだけでなく、様々な体験を通して、その歴史や地域の文化に深く触れることができます。五感を使って、城の魅力を存分に味わいましょう。

天守内部の見学と展望

高知城観光の中心となるのは、やはり現存天守内部の見学です。当時の木材や工法がそのまま残る天守内部を巡ることで、江戸時代の築城技術や、武士たちの生活空間を肌で感じられます。急な階段を登り切った最上階の望楼からは、高知市街地の360度パノラマが広がり、太平洋まで見渡せる開放感は格別です。城下町や遠くの山々を眺めながら、当時の藩主たちが何を見ていたのか、思いを馳せてみてください。

懐徳館(本丸御殿)での歴史体験

本丸にある「懐徳館」は、藩主の住居であった本丸御殿の一部がそのまま残された貴重な建物です。ここでは、当時の藩主の執務室や生活空間を間近に見学でき、江戸時代の武家文化や暮らしを具体的に想像できます。特に、縁側から眺める庭園は美しく、静かで落ち着いた空間で歴史に浸ることができます。

高知城歴史博物館での学び

高知城のすぐそばにある「高知県立高知城歴史博物館」では、土佐の歴史と文化をまるごと学べます。高知城が築かれた頃から、土佐藩山内氏の歩み、そして坂本龍馬をはじめとする幕末のヒーローたちの活躍まで、貴重な資料や展示を通じて深く掘り下げて知ることができます。高知城の見学とセットで訪れれば、お城の価値がより一層理解でき、土佐の歴史がグッと身近に感じられるはずです。

高知城への交通手段:スムーズなアクセス方法

高知城へのアクセスは、公共交通機関でも車でも非常に便利です。ご自身の旅のスタイルや、他の観光地への移動計画に合わせて、最適な方法を選んでください。

電車・路面電車での行き方

高知城の最寄り駅は、JR「高知駅」です。高知駅から高知城へは、路面電車「とさでん交通」を利用するのが最も便利です。高知駅前電停から、伊野方面行きの路面電車に乗車し、「高知城前」電停で下車してください。電停から追手門までは徒歩で約5分ほどです。高知駅から高知城までは徒歩で約15分〜20分程度でもアクセス可能です。

バスでの行き方

高知駅前からは、とさでん交通の路線バスも利用できます。「高知城前」バス停で下車すると、徒歩で高知城に到着します。主要な観光スポットを巡る観光周遊バス「MY遊バス」も便利で、高知城前にも停車します。

車での行き方と駐車場情報

お車でお越しの場合、高知自動車道「高知IC」から約15分〜20分で高知城周辺に到着します。高知城には、公園周辺にいくつかの有料駐車場があります。最も便利なのは、高知城追手門近くにある「高知城公園駐車場」で、普通車約100台が駐車可能です。ただし、観光シーズンや休日には混雑することが予想されますので、時間に余裕を持って訪れるか、周辺のコインパーキングの利用も検討しましょう。

高知城周辺の観光名所:歴史と自然、食を満喫する

高知城の周辺には、他にも魅力的な観光名所がたくさんあります。高知城と合わせて訪れて、高知市全体の奥深い魅力をさらに感じてみてください。

ひろめ市場:高知の食文化を体感

高知城から徒歩圏内にある「ひろめ市場」は、高知の台所として親しまれる、活気あふれる市場です。かつおのタタキをはじめ、新鮮な海の幸、地元の野菜、高知ならではのB級グルメ、お土産品まで、様々な店舗が軒を連ねています。市場内のテーブルで、購入した料理をその場で味わうことができ、高知の食文化を肌で感じられます。昼食や夕食に、ぜひ立ち寄ってみてください。

高知県立牧野植物園:植物学者の夢と自然の美

高知城から少し離れた場所にある「高知県立牧野植物園」は、日本の植物分類学の父と呼ばれる牧野富太郎博士の業績を顕彰する植物園です。広大な敷地には、様々な植物が植栽され、四季折々の美しい風景を楽しめます。温室や展示館もあり、植物の多様性や生態について深く学ぶことができます。自然豊かな場所で、心癒されるひとときを過ごしたい方におすすめです。

五台山公園:高知市街と太平洋を一望

高知市街の東に位置する「五台山公園」は、高知城からも比較的近い展望スポットです。山頂からは、高知市街地や浦戸湾、そして太平洋まで見渡せる絶景パノラマが広がります。

ご当地の味とおすすめ店:高知城の近くで楽しめる食事

高知城周辺には、高知ならではの美味しい料理を楽しめるお店がたくさんあります。観光の合間に、ぜひ地元の味を堪能してください。

かつおのタタキ:本場の味を体験

高知の味の代表格といえば「かつおのタタキ」です。表面を藁焼きで香ばしく炙り、中は生の状態に仕上げたもので、薬味をたっぷりと乗せてポン酢や塩でいただきます。本場高知では、皮目をパリッと香ばしく、中はとろけるような食感の絶品タタキを味わえます。高知城周辺の居酒屋や郷土料理店、ひろめ市場などで、ぜひ本場の味を体験してみてください。

皿鉢(さわち)料理:豪快な高知の宴会料理

「皿鉢料理」は、大きな皿に様々な料理が盛り付けられた、高知ならではの豪快な宴会料理です。かつおのタタキをはじめ、旬の魚介類のお刺身、煮物、揚げ物、果物などが美しく盛り付けられ、見た目にも華やかです。大人数でシェアしながら、高知の豊かな食文化を体験できます。高知市内の料亭や一部の居酒屋で提供されています。

土佐ジロー:高知のブランド鶏

高知県原産の地鶏「土佐ジロー」は、小柄ながらも旨味が凝縮された肉質が特徴です。鶏肉そのものの美味しさを楽しめる焼き鳥や、卵かけご飯(土佐ジローの卵を使用)なども人気です。高知城周辺の飲食店で、高知の豊かな自然の中で育った上質な鶏肉を味わってみてください。

周辺名所への行き方:移動もスムーズに

高知城周辺の観光名所への移動は、徒歩や公共交通機関を利用することで非常にスムーズに行えます。高知市の中心部にあり、アクセスが良好なため、効率的に観光を楽しめます。

ひろめ市場へのアクセス

ひろめ市場は高知城から徒歩で約5分〜10分程度の距離にあります。高知城観光の後、すぐに立ち寄れる便利な場所に位置しています。

高知県立牧野植物園・五台山公園へのアクセス

高知県立牧野植物園と五台山公園は高知城からバスまたはMY遊バスでアクセス可能です。高知城前バス停から乗車し、それぞれの停留所で下車します。所要時間は約20分〜30分程度です。

まとめ:初心者にもおすすめの高知城、旅の秘訣

高知城は、日本に12しかない現存天守の一つであり、特に天守と追手門が共に現存する全国唯一の城として、その歴史的価値は非常に高いです。土佐藩主山内一豊によって築かれ、宝永の火災後に再建された天守や本丸御殿は、当時の姿をほぼ完全に伝えており、訪れる人々に感動を与えます。高知市街を一望できる天守からの眺めは、旅の思い出に残ること間違いなしです。

見どころが多く、周辺のひろめ市場や牧野植物園など、歴史と文化、自然、そして美味しいグルメを合わせて一日中楽しめる場所ですので、旅の際はぜひ時間にゆとりを持ってお越しください。歴史に触れ、美しい景色を眺め、高知ならではの美味しい料理を味わう。そんな高知城への旅は、かけがえのない思い出となるはずです。ぜひ、高知城で現存する歴史の重みと土佐の息吹に触れてみてください。

この記事を読んでいただきありがとうございました。

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