駿府城:徳川家康が築いた天下人の居城と歴史公園

戦国時代のお城 一覧

静岡県静岡市葵区に位置する駿府城は、徳川家康が晩年を過ごし、天下統一の総仕上げを行った「大御所政治」の舞台となった城です。現在は、その広大な敷地が駿府城公園として整備され、市民や観光客の憩いの場となっています。復元された東御門や巽櫓、そして発掘調査が進む天守台からは、家康が築き上げた壮大な城の姿を感じられます。歴史のロマンと美しい庭園が広がる駿府城公園で、家康公の偉業と静岡の歴史に触れる旅に出かけませんか。


お城の歴史:誰がいつ築き、どんな役割を果たしたか

駿府城の歴史は、室町時代に今川氏によって築かれた今川館に始まります。徳川家康が幼少期を人質として過ごしたのもこの今川館でした。今川氏が滅亡した後、天正十年(1582年)に家康は本格的な築城に着手し、駿府城を築き上げました。この城は、家康が五カ国を支配する拠点として、その後の天下統一に向けた重要な役割を担いました。

家康が江戸幕府を開いた後、慶長十二年(1607年)には二代将軍秀忠に将軍職を譲り、自らは大御所として再び駿府城に入りました。この「大御所政治」の時代に、駿府城は全国の大名に命じて(天下普請)大規模な改築が行われ、三重の堀を持つ輪郭式の巨大な城郭へと生まれ変わります。本丸には壮麗な天守がそびえ、駿府の町は政治・経済・文化の中心として繁栄を極めました。

しかし、家康が亡くなった翌年の元和二年(1616年)に城は火災に見舞われ、天守をはじめ多くの建物が焼失しました。その後、御殿や櫓、城門などは再建されましたが、天守は再建されませんでした。江戸時代を通じて、駿府城は徳川御三家の一つである駿府藩主の居城となり、東海道の要衝として重要な役割を担い続けました。だが、度重なる地震や火災により、その都度修復が繰り返されました。

明治時代に入り、廃藩置県によって駿府城は廃城となり、多くの建物が取り壊されました。城跡は陸軍省の管轄となり、練兵場として利用されます。その後、公園として整備され、現在の駿府城公園となりました。昭和に入ると、東御門や巽櫓が復元され、往時の姿を偲ばせるようになりました。近年では、家康が築いた天守台の発掘調査が進められ、新たな発見が相次いでいます。駿府城は、徳川家康の生涯と、日本の歴史の大きな転換期を見つめ続けた、まさに歴史の舞台そのものです。


見どころ紹介:空堀、土塁、郭跡などの特徴と魅力

東御門と巽櫓:復元された城の姿

駿府城公園の主要な見どころの一つが、復元された東御門と巽櫓です。これらは、家康が大御所時代に築いた駿府城の姿を今に伝える貴重な建造物です。東御門は城の正門の一つで、その堂々とした構えは訪れる人々を圧倒します。巽櫓は、城の防御拠点として重要な役割を果たした隅櫓です。内部は資料館として公開されており、駿府城の歴史や発掘調査の様子、復元の過程などを学べます。復元された建物から、当時の築城技術や城の構造に触れ、歴史の息吹を感じてみませんか。

天守台発掘現場:家康が築いた天守の痕跡

駿府城公園の中心部では、現在も天守台の発掘調査が続けられています。ここは、家康が大御所時代に築いた壮大な天守がそびえていた場所です。発掘現場では、当時の石垣の構造や、金箔瓦など天守を飾っていたとされる豪華な瓦の破片などが見つかっており、家康が目指した天下人としての威厳を今に伝えます。発掘現場は一部が公開されており、歴史のロマンを感じられる貴重な場所です。家康がこの地にどのような天守を築いたのか、想像力を掻き立てられることでしょう。

内堀と二ノ丸水路:城郭の防御と水の美しさ

駿府城は、幾重にも巡らされた堀が特徴的な輪郭式の城郭です。特に、内堀は本丸を囲む最も内側の堀で、その広さと深さは城の堅固さを物語ります。また、内堀と二ノ丸堀をつなぐ二ノ丸水路も特徴的です。堀の水面には、周辺の木々や空が映り込み、美しい景観を作り出します。堀に沿って散策すると、当時の防御システムを肌で感じながら、水の美しさも同時に楽しめます。堀沿いには、当時の石垣の一部も確認でき、歴史の深さを感じられるでしょう。

紅葉山庭園:四季折々の美しさ

駿府城公園内にある「紅葉山庭園」は、駿河の国の名勝を織り込んだとされる大名庭園です。築山や池が配され、四季折々の花々や木々が楽しめる美しい庭園です。特に、春の桜、初夏の新緑、秋の紅葉など、季節ごとに異なる表情を見せ、訪れる人々を和ませます。庭園内をゆっくり散策しながら、日本の伝統的な庭園美と自然の移ろいを満喫してください。

徳川家康公の像:偉大な天下人の足跡

駿府城公園内には、徳川家康公の像がいくつかあります。特に有名なのは、晩年の家康の姿を表した像です。また、幼少期の家康である「竹千代君」の像もあり、家康の生涯を偲ぶことができます。これらの像は、家康がこの地で過ごした日々や、天下統一への道を歩んだ偉大な足跡を想起させます。記念撮影スポットとしても人気があり、家康公とともに歴史の一コマを写真に収めるのも良いでしょう。


映える撮影スポット:人気の撮影場所や時期・時間帯のおすすめ

東御門と巽櫓:迫力ある城の入り口

駿府城公園の東御門と巽櫓は、城のシンボルとして最も写真映えするスポットの一つです。特に、門をくぐり抜けるような構図や、櫓を背景に入れた構図は迫力満点です。これらの建物は東向きに建てられているため、午前中に撮影すると順光となり、より美しく撮れるでしょう。青空を背景に白壁と木造の美しさを際立たせた一枚を狙うのがおすすめです。夜間にはライトアップされることもあり、幻想的な雰囲気の中で撮影することもできます。

堀と石垣:水面に映る歴史の姿

駿府城公園を囲む内堀は、美しい水面に城の姿や周囲の木々を映し出し、絶好の撮影スポットとなります。特に、風のない穏やかな日には、水面に映る「逆さ城」のような景色を捉えられるでしょう。また、堀越しに見える石垣は、その堅固さと歴史の重みを感じさせます。堀沿いを歩きながら、様々な角度から城の表情を切り取ってみてください。早朝の澄んだ空気の中や、夕焼けに染まる時間帯は、特に美しい光景が広がります。

紅葉山庭園:四季折々の彩り

紅葉山庭園は、四季折々の花々や木々が楽しめる美しい日本庭園で、撮影スポットとしても人気です。春には桜、初夏には新緑、秋にはモミジが美しく色づき、庭園全体が鮮やかな彩りに包まれます。特に紅葉の時期は、赤や黄色に染まった木々と庭園の池が織りなす景色は絵画のように美しく、多くの写真愛好家が訪れます。庭園内の橋や灯籠などをフレーミングに入れて撮影すると、趣のある写真が撮れるでしょう。

静岡県庁別館21階展望ロビーからの俯瞰

駿府城公園の南側に隣接する静岡県庁別館の21階には、無料で利用できる展望ロビーがあります。ここからは、駿府城公園全体を眼下に一望でき、広大な城郭の全貌を捉えることができます。堀の様子や、復元された東御門・巽櫓、そして発掘現場なども上から見下ろすことが可能です。特に、広角レンズで撮影すると、公園全体のスケール感を表現できます。昼間の見晴らしの良い時間帯に訪れるのがおすすめです。

家康公の像:記念撮影に最適

駿府城公園内に点在する徳川家康公の像は、記念撮影にぴったりのスポットです。晩年の家康像や、幼少期の竹千代君の像などがあり、家康公とともに旅の思い出を写真に残せます。像の背景に城の建物や美しい庭園を入れると、より魅力的な一枚になるでしょう。


現地体験:博物館見学、歴史散策、地域の催し物など

駿府城公園内の見学施設で歴史を学ぶ

駿府城公園内には、歴史を深く学べる見学施設が充実しています。東御門・巽櫓は、復元された建物内部が資料館となっており、駿府城の歴史や発掘調査の成果、復元の経緯などが分かりやすく展示されています。当時の瓦や出土品なども見られ、家康が築いた城の姿を具体的にイメージできます。また、静岡市歴史博物館も城のすぐ近くにあり、静岡の歴史全般を学ぶことができます。駿府城に関する展示も充実しているので、合わせて訪れると、より深く歴史に触れられます。

駿府城跡天守台の発掘現場見学

現在も発掘調査が続けられている天守台の発掘現場は、駿府城観光でぜひ訪れたい場所です。家康が築いたとされる二重の天守台の石垣や、豪華な金箔瓦などが発掘されており、その一部が公開されています。天下人が夢見た壮大な天守の姿を想像しながら、発掘の様子を見学することで、歴史の息吹を肌で感じられます。将来的な整備計画にも期待が高まります。

葵舟に乗ってお堀巡りを楽しむ

駿府城公園のお堀では、葵舟に乗って、ゆったりとお堀巡りを楽しめます。舟に乗ることで、普段とは異なる視点から城の石垣や堀の様子を眺められます。船頭さんの解説を聞きながら、堀からしか見られない遺構や、水辺の自然を満喫できます。約40分の周遊で、歴史と自然が織りなす美しい景色を堪能してください。堀を巡りながら、家康が築いた城郭の規模を実感するのも良い経験です。

紅葉山庭園で日本の庭園美を堪能

駿府城公園内にある紅葉山庭園は、江戸時代の趣を再現した美しい日本庭園です。池や築山、滝などが配され、四季折々の花木が訪れる人々を和ませます。庭園内をゆっくり散策し、日本の伝統的な庭園美を堪能してください。茶室もあり、抹茶をいただきながら庭園を眺めるのも、心豊かなひとときを過ごす方法です。

静岡おでん横丁でご当地グルメを味わう

駿府城公園から少し足を延ばせば、静岡市のご当地グルメ「静岡おでん」を楽しめる**静岡おでん横丁**があります。黒はんぺんや牛すじなど、静岡ならではの具材を、濃いめの黒いだしで煮込んだおでんは、ここでしか味わえない逸品です。歴史散策の後に、地元の人々に混じって熱々のおでんと地酒を楽しむのは、旅の良い思い出になります。


交通手段:電車・乗合自動車・車での行き方、最寄り駅など

電車を利用した便利なアクセス

駿府城公園へは、JR静岡駅または静岡鉄道新静岡駅から徒歩でアクセスできます。公共交通機関を利用すれば、スムーズに到着できます。

  • JR静岡駅から: JR静岡駅北口から徒歩おおむね15分です。または、北口のバス乗り場から「駿府浪漫バス」に乗車し、「東御門」バス停で下車すると便利です。乗車時間は約15分です。
  • 静岡鉄道新静岡駅から: 静岡鉄道新静岡駅から徒歩おおむね12分です。こちらも「駿府浪漫バス」の利用が便利で、新静岡駅から乗車し「東御門」バス停で下車すると、約11分で到着します。

駿府浪漫バスは、静岡市街の見どころを巡る周遊バスで、観光にもおすすめです。運行ルートや時刻表は、事前に確認してください。

車を利用したアクセスと駐車場情報

自家用車やレンタカーで駿府城公園へ向かう場合、東名高速道路の「静岡インターチェンジ」または新東名高速道路の「新静岡インターチェンジ」が最寄りのICです。

  • 東名高速 静岡ICから: 車で約17分です。
  • 新東名高速 新静岡ICから: 車で約18分です。

駿府城公園には専用の駐車場はありません。公園周辺には、民間の有料駐車場がいくつかありますので、そちらを利用してください。特に休日や観光シーズンは混雑が予想されるため、時間に余裕を持って来場するのが良いでしょう。

静岡市中心部に位置するため、公共交通機関でのアクセスも非常に便利です。旅のスタイルに合わせて、最適な交通手段を選びましょう。


周辺の観光名所:徒歩・公共交通で行ける名所

駿府城公園を訪れたら、周辺の魅力的な観光名所も一緒に楽しんでみませんか。静岡市は、家康公ゆかりの地から、自然豊かな場所まで見どころが豊富です。

久能山東照宮:家康公が眠る場所

徳川家康公の遺骸が最初に埋葬された場所として知られる久能山東照宮は、駿府城から公共交通機関でアクセスできます。豪華絢爛な社殿は、国宝にも指定されており、権現造りの代表的な建築様式を見られます。ロープウェーで山頂へ向かう道のりも絶景で、駿河湾の眺めも楽しめます。歴史と絶景を同時に満喫できる、静岡を代表する観光地です。駿府城公園からバスで日本平ロープウェー乗り場へ向かい、ロープウェーに乗り換えるのが一般的です。

静岡市美術館:多彩な企画展でリフレッシュ

JR静岡駅近くにある静岡市美術館では、様々なジャンルの企画展を開催しており、芸術に触れる機会を提供しています。歴史散策の合間に、アート鑑賞で気分転換するのもいいですね。駿府城公園からも歩いて行ける距離なので、気軽に立ち寄れます。

静岡浅間神社:家康公ゆかりの古社

静岡市葵区にある静岡浅間神社は、徳川家康公が元服式を行ったとされる由緒ある神社です。三社からなる壮大な社殿群は、見応えがあります。特に、漆塗りの社殿は美しく、国の重要文化財にも指定されています。家康公の歴史をたどる上で欠かせない場所の一つです。駿府城公園からは、徒歩または駿府浪漫バスでアクセスできます。

静岡市歴史博物館:静岡の歴史を深く知る

駿府城公園のすぐ隣に位置する静岡市歴史博物館は、静岡の古代から現代までの歴史を総合的に学べる施設です。特に、徳川家康と駿府城に関する展示が充実しており、駿府城公園と合わせて訪れると、より深く歴史的背景を理解できます。VR体験など、最新技術を使った展示もあり、楽しみながら学べます。

青葉おでん街・青葉横丁:静岡おでんの聖地

JR静岡駅の西側にある青葉おでん街と青葉横丁は、静岡おでんの専門店が集まるエリアです。レトロな雰囲気の中で、静岡名物の黒はんぺんや牛すじなど、独特のおでんを味わえます。地元の人々の活気を感じながら、旅の思い出に残る食体験をしてみてはいかがでしょうか。駿府城公園からは徒歩おおむね10分から15分程度の場所にあります。

これらの周辺観光名所は、駿府城観光をさらに充実させてくれます。静岡市中心部には見どころが集中しているので、効率良く巡れます。


ご当地の味とおすすめ店:城の近くで楽しめる食事

駿府城を訪れたなら、静岡ならではの「ご当地グルメ」をぜひ味わってみましょう。城下町には、地元で愛される美味しいお店がたくさんあります。

静岡おでん:地元の味が楽しめる逸品

静岡のソウルフードともいえる「静岡おでん」は、駿府城周辺でも気軽に楽しめます。真っ黒なだしで煮込まれたおでんは、牛すじや黒はんぺんなど、静岡ならではの具材が特徴です。だし粉をかけて食べるのが一般的で、お店ごとに異なる味わいがあります。熱々のおでんと地酒で、旅の疲れを癒してみてはいかがでしょうか。

  • 青葉おでん街・青葉横丁:静岡おでんの専門店が軒を連ねるエリアです。はしご酒も楽しめます。

桜えび・しらす:駿河湾の海の幸

駿河湾に面する静岡では、新鮮な海の幸も楽しめます。特に、桜えびとしらすは静岡を代表する海の幸です。生で丼にしたり、かき揚げにしたりと、様々な料理で提供されます。旬の時期には、港で水揚げされたばかりの新鮮な味を堪能できます。

  • なすび総本店:桜えびやしらすなど、駿河湾の海の幸を使った料理が楽しめる和食店です。

うなぎ:老舗の味に舌鼓

静岡県は、うなぎの養殖も盛んです。脂の乗ったふっくらとしたうなぎを、甘辛いタレで焼き上げたうなぎ料理は、贅沢な一品です。老舗のうなぎ店で、その伝統の味をじっくりと味わってみるのもいいですね。

  • うなぎのしら河:地元で人気のうなぎ専門店です。

静岡茶:日本を代表するお茶の産地

静岡県は、日本有数のお茶の産地として知られています。豊かな香りと深い味わいの静岡茶は、お土産にも最適です。城下町の茶舗で、淹れたての静岡茶を味わったり、様々なお茶製品を見て回るのも楽しい時間です。

  • 市内のお茶専門店や土産物店で購入・試飲できます。

これらの静岡のご当地グルメは、駿府城観光の合間にぜひ味わっていただきたいものです。城下町には、様々なジャンルのお店が点在しています。


まとめ:初心者にもおすすめの理由、旅の秘訣

駿府城は、徳川家康が晩年を過ごした歴史的な城であり、その広大な敷地は現在、美しい駿府城公園として整備されています。復元された門や櫓、発掘が進む天守台からは、家康が目指した天下人としての姿を感じられます。特に、お堀を巡る葵舟や、天守台の発掘現場など、歴史を肌で感じられる体験が豊富にあるのが魅力です。

旅の秘訣は、駿府城公園での歴史散策と合わせて、周辺の家康公ゆかりの地や、静岡ならではのグルメも楽しむことです。久能山東照宮で家康公の足跡をたどり、静岡おでん横丁で地元の味に触れてみませんか。効率よく巡るためには、JR静岡駅や新静岡駅からのアクセスが良い立地を活かし、公共交通機関や周遊バスを上手に利用すると良いでしょう。歴史と文化、そして美食が融合した静岡の魅力を、存分に満喫する旅を計画してください。

この記事を読んでいただきありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました