長野県松本市にそびえ立つ松本城は、日本に現存する五つの国宝天守の一つであり、その雄大で美しい姿から「烏城」とも呼ばれています。戦国時代に築かれたこの城は、黒と白のコントラストが特徴的な天守、美しい石垣、そして周囲の自然と見事に調和した景観で、訪れる人々を魅了します。城下町松本の中心に位置し、アクセスも良好です。松本城では、歴史の重みを感じながら、四季折々の美しい景色を楽しめます。さあ、松本城で、あなただけの歴史と美の旅に出かけてみましょう。
お城の歴史：誰がいつ築き、どんな役割を果たしたか
松本城の起源は、戦国時代の永正年間（1504～1521年）に信濃守護・小笠原氏によって築かれた「深志城」に遡ります。その後、武田信玄が信濃へ侵攻し、深志城は武田氏の支配下に置かれました。武田氏が滅亡すると、徳川家康の家臣である石川数正とその子・康長が入城し、天守や城郭の整備に着手しました。現在の天守は、この石川氏の時代に完成したと考えられています。
江戸時代に入ると、松本城は松本藩の拠点として重要な役割を担います。松本藩は、徳川家康の重要な拠点の一つであり、城主は譜代大名が務めることが多かったようです。江戸時代を通じて、小笠原氏、戸田氏など様々な大名家が城主を務め、それぞれの時代で城の改修や増築が行われました。特に、三代将軍徳川家光が上洛の途中に立ち寄った際には、城の大改修が行われ、現在の姿に近い形が整えられました。
明治維新後、廃城令によって多くの城が取り壊される中、松本城も例外ではありませんでした。しかし、地元住民の熱心な保存運動によって、天守は破壊を免れました。その後、明治34年（1901年）には、市民の寄付によって大規模な修理が行われ、現在にいたる国宝松本城の姿が守られてきたのです。松本城は、戦国の動乱から江戸の泰平、そして近代の激動の時代を見守ってきた、まさに生きた歴史の証人と言えます。
見どころ紹介：天守、石垣、門などの特徴と魅力
国宝の天守：黒と白のコントラストが美しい「烏城」
松本城の最大の魅力は、現存する国宝天守です。大天守と小天守が渡櫓で連結された複合式天守は、他に類を見ない独創的な構造をしています。黒漆塗りの下見板と白い漆喰壁のコントラストが特徴的で、その姿はまるで烏が羽を広げたように見えることから「烏城」の異名を持ちます。天守内部は、急な階段や狭い通路が続き、戦国の時代をしのばせる造りです。最上階からは、松本市街地や北アルプスの山々を一望でき、その眺めはまさに絶景です。
計算された堅固な石垣
松本城の天守を支える石垣は、自然の石を巧みに積み上げた野面積みが特徴です。天守台の石垣は、創建当時の技術の高さを示しており、堅固な防御力を誇ります。石垣の積み方にも工夫が見られ、場所によってその表情が異なります。一つ一つの石に歴史の重みを感じながら、じっくりと観察してみるのがおすすめです。</p{
趣のある櫓と門
松本城には、天守の他にも見どころとなる櫓や門があります。月見櫓は、江戸時代に増築されたもので、優雅な造りが特徴です。戦いのための天守とは異なり、平和な時代を反映した建物で、月見を楽しむための風流な空間でした。辰巳附櫓や、埋橋と黒門も松本城の象徴的な景観を作り出しています。これらの建物を通して、当時の人々の暮らしや文化に触れることができます。
堀に映る逆さ天守
松本城の周辺には、美しい水堀が巡らされています。特に天気の良い日には、水面に松本城の天守が逆さに映し出され、「逆さ松本城」として知られる幻想的な光景が見られます。この景色は、写真愛好家にも人気の撮影スポットです。水面に映る城の姿は、時間帯や季節によって表情を変え、見る人を飽きさせません。
映える撮影スポット：人気の撮影場所や時期・時間帯のおすすめ
堀越しの天守全景
松本城の撮影スポットとして最も人気が高いのは、堀越しに天守を捉えるアングルです。特に、城の東側から撮影すると、水面に逆さ天守が映り込み、その美しさが際立ちます。晴れた日の午前中、特に風の穏やかな日には、くっきりと美しい逆さ天守の写真を撮れます。桜の季節には、堀沿いの桜と天守の組み合わせが絶景です。
月見櫓とのコントラスト
天守に連結する月見櫓は、その優雅な姿から人気の撮影スポットです。黒い天守と対照的な明るい色合いの月見櫓を一緒に写すことで、松本城の多様な建築様式を楽しめる写真になります。月見櫓の縁側や窓から外を眺める構図も、趣のある一枚になります。
太鼓門からのアングル
太鼓門は、松本城の主要な入口の一つです。この門越しに天守を捉えるアングルは、城の堅固さと歴史の深さを感じさせる写真が撮れます。門の重厚な雰囲気を活かし、天守との遠近感を出すことで、迫力のある一枚が期待できます。
四季折々の表情
松本城は、四季を通じて異なる美しい顔を見せます。春には、桜が満開になり、黒い天守とピンク色の桜のコントラストが息をのむほど美しいです。秋には、カエデやイチョウが色づき、紅葉と天守の調和が見事です。冬には、雪化粧をまとった天守が、凛とした厳かな雰囲気を漂わせ、幻想的な写真を撮るのに最適です。季節ごとの魅力を写真に収めるのも、松本城の楽しみ方の一つです。
夜間ライトアップ
松本城は、夜間にはライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な姿を現します。暗闇に浮かび上がる天守は、その美しさを一層際立たせ、水面に反射する光も相まって、息をのむような夜景を演出します。特に、イベント期間中などは特別なライトアップが行われることもあり、訪れる際は事前に情報を確認することをおすすめします。
現地体験：博物館見学、歴史散策、地域の催し物など
天守内部の見学
松本城を訪れたら、ぜひ天守内部を見学してください。急な階段を上り、狭い通路を進むと、当時の防衛の工夫や、武具を収納した棚など、様々な仕掛けが見られます。最上階からは、松本市街や北アルプスの壮大なパノラマが広がり、登り切った達成感とともに、最高の眺めを楽しめます。天守内は段差が多いので、歩きやすい靴での見学がおすすめです。
松本城公園の散策と堀巡り
松本城公園内は広く、天守周辺の散策も楽しめます。美しい水堀を巡る遊歩道を歩くと、様々な角度から天守の姿を眺められます。堀には白鳥や鴨が泳ぎ、のどかな雰囲気が漂います。時間に余裕があれば、ゆっくりと散策し、城下町の歴史を感じてみてください。
松本城に関する展示施設
松本城敷地内には、松本城の歴史や構造、出土品などを展示する施設があります。天守の見学と合わせて、ここで松本城に関する知識を深めると、より一層城の魅力が感じられます。築城当時の様子を再現した模型や、歴史的な資料なども展示されており、城の背景を詳しく知ることができます。
季節のイベントや祭りの参加
松本城では、年間を通して様々なイベントや祭りが開催されます。春には桜まつり、夏には太鼓まつり、秋には菊花展など、季節に応じた催しが行われます。また、松本城古城太鼓の演奏や、甲冑隊の演武など、歴史を感じさせるイベントが定期的に開催されることもあります。訪れる時期のイベント情報を事前に調べて、参加してみるのも良い思い出になります。
松本城周辺の城下町散策
松本城は、かつての城下町の中心に位置しています。城から徒歩圏内には、趣のある中町通りや縄手通りなど、歴史を感じさせる通りが広がっています。古い町並みを散策しながら、伝統工芸品店や土産物店、カフェなどを巡るのもおすすめです。松本城と城下町の景観が一体となり、独特の雰囲気を醸し出しています。
交通手段：電車・バス・車での行き方、最寄り駅など
電車を利用する場合
松本城へのアクセスは、JR松本駅が最寄りの駅です。JR松本駅には、JR中央本線、篠ノ井線、大糸線が乗り入れています。新宿駅から特急「あずさ」を利用すると、約2時間40分から3時間で松本駅に到着します。名古屋方面からは、特急「ワイドビューしなの」で約2時間で松本駅に到着します。
松本駅から松本城までは、徒歩で約15分から20分程度です。駅の改札を出て、駅前の大通りをまっすぐ北へ進むと松本城が見えてきます。散策を楽しみながら向かうのにちょうど良い距離です。
路線バスを利用する場合
松本駅からバスを利用する場合、周遊バス「タウンスニーカー」が便利です。松本駅お城口（東口）から、北コースに乗車し、「松本城・市役所前」バス停で下車します。乗車時間は約5分から10分です。バスの本数も多いので、徒歩が苦手な方や時間を短縮したい方におすすめです。
車を利用する場合
自家用車やレンタカーで松本城へ向かう場合、長野自動車道の松本インターチェンジが最寄りのICです。松本インターチェンジからは、約15分から20分で松本城周辺に到着します。松本城には専用駐車場がないため、周辺の有料駐車場を利用してください。松本市営開智駐車場や松本市営大手門駐車場など、松本城まで徒歩圏内に複数の駐車場があります。事前に駐車場の場所を確認しておくとスムーズに移動できます。
松本城は、主要駅から徒歩圏内というアクセスの良さも魅力です。公共交通機関を利用しての訪問が非常に便利です。
周辺の観光名所：徒歩・公共交通で行ける名所
中町通り
松本城から徒歩約10分の場所にある中町通りは、かつて商人の町として栄えた歴史ある通りです。白と黒の「なまこ壁」の蔵造りの建物が軒を連ね、レトロで趣のある雰囲気を醸し出しています。ギャラリー、土産物店、カフェなどが並び、散策やショッピング、休憩に最適です。
縄手通り商店街
中町通りと並行して流れる女鳥羽川沿いにある縄手通り商店街は、「カエル」をテーマにしたユニークな商店街です。露店や昔ながらの店が並び、射的などの遊びも楽しめます。松本城から徒歩約10分と近く、ぶらりと立ち寄って、懐かしい雰囲気を味わってみるのも良いでしょう。
松本市美術館
松本城から徒歩約15分、またはバスで数分の場所にある松本市美術館は、草間彌生さんの出身地である松本市の美術館として、彼女の作品を多数収蔵しています。前衛的な作品だけでなく、地元ゆかりの作家の作品も展示されています。美術館の外観やオブジェも独特で、アート好きには見逃せないスポットです。
旧開智学校
松本城から徒歩約15分の場所にある旧開智学校は、明治時代初期に建てられた、現存する日本最古級の小学校校舎の一つです。文明開化の象徴とも言える洋風建築で、国の重要文化財に指定されています。現在は教育博物館として、当時の教科書や資料などが展示されており、日本の近代教育の歴史を学べます。
松本市時計博物館
松本城から徒歩約5分、中町通りの近くにある松本市時計博物館は、日本で唯一の時計専門博物館です。国内外の様々な時計が展示されており、その歴史や仕組みを学ぶことができます。からくり時計のデモンストレーションも行われ、子供から大人まで楽しめるスポットです。
これらの周辺観光名所は、松本城観光をより充実したものにしてくれます。松本市はコンパクトにまとまっているので、徒歩や公共交通機関で効率よく観光地を巡ることが可能です。
ご当地の味とおすすめ店：城の近くで楽しめる食事＆喫茶店
松本城を訪れたなら、長野県や松本ならではのご当地グルメをぜひ堪能してください。松本駅周辺や城の近くには、美味しいお店がたくさんあります。
信州そば
長野県といえば、やはり「信州そば」です。風味豊かでコシのあるそばは、つゆとの相性も抜群です。松本市内には、手打ちそばの店が多く、それぞれにこだわりのそばを味わえます。
- そば処もとき：松本城から徒歩圏内にある老舗のそば店。手打ちの信州そばと、地元の食材を使った天ぷらが人気です。
- 野麦路：松本城近くにある、落ち着いた雰囲気のそば店。様々な種類のそばや、そばがきなども楽しめます。
山賊焼き
松本市のご当地グルメとして近年注目を集めているのが「山賊焼き」です。鶏もも肉をニンニクの効いたタレに漬け込み、片栗粉をまぶして揚げたもので、ボリューム満点です。ご飯のおかずにも、ビールのつまみにも最高です。
- 松本からあげセンター：松本駅近くにあり、山賊焼きをはじめとする鶏肉料理が豊富です。テイクアウトもできます。
馬刺し
長野県では、馬肉を食べる文化があり、特に「馬刺し」は人気の郷土料理です。新鮮な馬肉の赤身は、とろけるような舌触りで、専用の甘口醤油で食べます。
- 新三よし：松本駅から徒歩圏内にある居酒屋で、新鮮な馬刺しをはじめ、様々な郷土料理を味わえます。
地酒・信州ワイン
長野県は、日本酒やワインの生産が盛んです。松本市内にも、地酒の酒蔵や、信州ワインを扱う店があります。松本城観光の後に、地元の味覚と一緒に楽しむのもおすすめです。
- 松本ブルワリータップルーム：松本城から近い場所にあり、地元のクラフトビールを味わえます。
- オープンカフェ まるごとやまなし館：山梨県内の特産品を販売する施設で、地元の食材を使ったカフェメニューや、地元のドリンクを楽しめます。
スイーツ・カフェ
松本市には、おしゃれなカフェや、こだわりのスイーツを提供するお店もたくさんあります。城下町の散策の合間に、立ち寄って一息つくのも良いでしょう。
- たいやきふるさと：縄手通り商店街にある、昔ながらのたい焼き屋さん。食べ歩きにもぴったりです。
- SWEETS CAFE LE GLAIN：松本城近くにある、ケーキや焼き菓子が人気のカフェです。
これらの松本のご当地グルメは、松本城観光の合間にぜひ味わっていただきたいものです。城や駅周辺に多くのお店が集まっているので、移動も便利です。
周辺名所への行き方：徒歩何分／交通手段などの簡潔な案内
中町通りへの行き方
松本城から徒歩でアクセスできます。
- 徒歩：松本城から南へ約10分。
縄手通り商店街への行き方
松本城から徒歩でアクセスできます。
- 徒歩：松本城から南へ約10分。中町通りのすぐ隣です。
松本市美術館への行き方
松本城からは徒歩またはバスでアクセスします。
- 徒歩：松本城から東へ約15分。
- バス：松本駅から周遊バス「タウンスニーカー」東コースに乗車し、「松本市美術館」バス停下車。
旧開智学校への行き方
松本城から徒歩でアクセスできます。
- 徒歩：松本城から北西へ約15分。
松本市時計博物館への行き方
松本城から徒歩でアクセスできます。
- 徒歩：松本城から南へ約5分。中町通りの近くです。
これらの周辺観光名所への移動手段を把握し、効率の良い旅の計画を立ててください。
まとめ：初心者にもおすすめの理由、旅の秘訣
松本城は、現存する国宝天守の美しさと、松本の歴史、文化、自然を一度に楽しめる、初心者にもおすすめの観光地です。アクセスが良好で、駅から徒歩圏内に位置します。
旅の秘訣は、天守内部の見学で急な階段を上るため、歩きやすい靴を履いていくこと。また、堀に映る「逆さ松本城」の撮影は、晴れた日の午前中が特にきれいに撮れます。松本城だけでなく、中町通りや縄手通りといった城下町の散策、信州そばや山賊焼きなどの地元グルメも存分に満喫してください。松本の魅力を深く味わう旅を計画できます。
この記事を読んでいただきありがとうございました。