福岡県福岡市中央区に位置する「福岡城」は、江戸時代初期に築城の名手として知られる黒田官兵衛(如水)とその子長政によって築かれ、以来270年以上にわたり福岡藩黒田氏の居城として栄えました。天守閣は現存しませんが、国の史跡に指定された広大な城跡は「舞鶴公園」として整備され、市民の憩いの場となっています。かつて四十もの櫓が立ち並んでいたことから「石城」とも呼ばれ、その堅固さと規模の大きさを今に伝えています。
城内には、現存する多聞櫓や潮見櫓(移築)、そして再建された大手門(平和台陸上競技場移築)など、見どころが満載です。この記事では、福岡城の深い歴史から見どころ、美しい撮影スポット、そして周辺の魅力的な観光地やご当地グルメまで、福岡城を心ゆくまで楽しむための情報をお届けします。ぜひ福岡城で、広大な城跡と黒田官兵衛の夢を感じる旅を体験してください。
福岡城の歴史:黒田氏の拠点と博多の発展
黒田官兵衛・長政による築城と城下町の発展
福岡城の歴史は、関ヶ原の戦いの功績により筑前国を与えられた黒田長政によって、慶長6年(1601年)に築城が始まったことに端を発します。父である稀代の軍師・黒田官兵衛(如水)の助言を受けながら、天然の要害である福崎山(現在の舞鶴公園一帯)に、当時としては最新鋭の技術を駆使した大規模な城郭の建設に着手しました。
慶長12年(1607年)にほぼ完成したと言われ、かつての商都「博多」と区別するため、「福岡」と名付けられました。城下町も計画的に整備され、福岡は黒田氏20万5千石の城下町として、政治・経済・文化の中心地として大いに栄えました。
幻の天守閣と四十の櫓
福岡城には、かつて壮大な天守閣があったとされていますが、その記録は少なく、築城から間もなく取り壊された「幻の天守閣」であったという説や、元々存在しなかったという説など、諸説あります。しかし、城内には四十もの櫓が立ち並び、その堅固な防御力は「石城」と称されるほどでした。これらの櫓が、天守の代わりとして城の象徴的な役割を果たしていたと考えられています。
近代そして現代への継承
明治維新の廃城令により、福岡城の建物はほとんどが撤去されましたが、一部の石垣や堀、そして多聞櫓などの現存する建物が残されました。現在、城跡は「舞鶴公園」として整備され、市民の憩いの場として親しまれています。公園内には、国の重要文化財である多聞櫓や、移築復元された潮見櫓、そして平和台陸上競技場に移築された大手門など、往時の面影を伝える遺構が点在しています。また、近年では城郭の価値を見直す動きも活発化しており、発掘調査やCGによる復元映像などで、当時の福岡城の姿を体感できる機会も増えています。
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福岡城の見どころ:広大な城跡と残された遺構
福岡城は天守閣が解体された城跡ですが、その広大な敷地と残された石垣や櫓、そして堀など、見どころが豊富です。城内を巡ることで、当時の築城技術や、城を守る工夫を肌で感じられます。
現存する「多聞櫓」と「潮見櫓」
福岡城の見どころの一つは、現存する国の重要文化財「多聞櫓」です。長屋のような構造を持ち、内部を見学することもできます。また、城内から移築された「潮見櫓」も貴重な現存遺構です。これらを巡ることで、当時の城の防御機能や、武士たちの生活空間を肌で感じられます。多聞櫓は、特にその威圧感のある外観が目を引きます。
広大な石垣と堀
福岡城の城域の広さと堅固さを物語るのが、その広大な石垣と堀です。当時の最先端技術を駆使して築かれた石垣は、自然の石を巧みに組み合わせたものから、整然と積み上げられたものまで様々です。堀も深く、その規模の大きさに圧倒されます。石垣に残る刻印を探しながら散策するのも、歴史のロマンを感じる楽しみ方です。桜の季節には、堀沿いの桜並木が美しい景観を作り出します。
大手門(平和台陸上競技場移築)
福岡城のかつての大手門は、現在「平和台陸上競技場」の入口として移築されています。規模は縮小されていますが、当時の門の姿を今に伝える貴重な遺構です。競技場の正面にそびえる門をくぐることで、かつてこの場所から多くの人々が城へ出入りしていたであろう情景に思いを馳せることができます。
福岡城の映える撮影スポット:光と影が織りなす絶景を記録する
福岡城跡は、その広大な敷地と残された遺構、そして豊かな自然が調和し、一年を通じて様々な表情を見せる撮影スポットに溢れています。訪れる時期や時間帯によって、異なる魅力的な写真を撮影できます。
広大な堀と石垣の風景
福岡城の堀と石垣は、その規模の大きさから迫力ある写真を撮影できます。特に、堀の水面に映る石垣や、季節ごとの木々とのコントラストは、美しい一枚を演出します。桜の季節には、堀沿いの桜並木と石垣が織りなす色彩豊かな景観を撮影でき、多くのカメラマンが訪れます。
多聞櫓と歴史の趣
現存する多聞櫓は、その重厚な佇まいが歴史の趣を感じさせる被写体です。櫓の前に広がる空間や、櫓を背景にした人物写真を撮影するのもおすすめです。特に、早朝や夕暮れ時など、光が斜めに差し込む時間帯は、櫓の陰影が際立ち、より深みのある写真を撮影できます。
天守台からの展望
天守台跡は、かつて壮大な天守閣があった場所であり、現在は小高い展望台となっています。ここからは、福岡市街地や、大濠公園、そして遠くの海まで見渡せるパノラマビューが広がります。特に、夜景は福岡市内でも有数の夜景スポットとして知られ、きらめく街の灯りが美しいコントラストを生み出します。昼間はもちろん、夜景を撮影するのも素晴らしい体験となります。
福岡城での現地体験:歴史散策と文化の触れ合い
福岡城では、ただ歴史的建造物を見て回るだけでなく、様々な体験を通して、その歴史や地域の文化に深く触れることができます。
城跡公園の散策と史跡巡り
福岡城跡は現在「舞鶴公園」として整備されており、広大な敷地内をゆっくりと散策するのがおすすめです。残された石垣や堀、現存する櫓などを巡ることで、当時の城の規模の大きさと堅固さを肌で感じられます。ボランティアガイドによる案内ツアーも開催されており、より深く福岡城の歴史を学ぶことができます。
鴻臚館跡展示館での歴史学習
福岡城跡の地下からは、平安時代の外交施設「鴻臚館」の遺構が発見されており、その一部が「鴻臚館跡展示館」として公開されています。ここは、古代から中世にかけて、日本がアジア諸国と交流した重要な拠点でした。城の歴史だけでなく、福岡のより古い歴史に触れることができる貴重な場所です。福岡城見学と合わせて訪れることで、福岡の歴史の奥深さを知ることができます。
季節ごとのイベント参加
舞鶴公園では、年間を通じて様々なイベントが開催されています。特に春の「福岡城さくらまつり」では、約1000本の桜が咲き誇り、夜にはライトアップも行われ、多くの花見客で賑わいます。秋には紅葉が美しく、冬にはイルミネーションイベントなども開催されることがあります。訪れる時期のイベント情報を事前にチェックして、より特別な体験をしてみてはいかがでしょうか。
福岡城への交通手段:スムーズなアクセス方法
福岡城へのアクセスは、公共交通機関でも車でも非常に便利です。ご自身の旅のスタイルや、他の観光地への移動計画に合わせて、最適な方法を選んでください。
地下鉄での行き方
福岡城の最寄り駅は、福岡市地下鉄空港線「大濠公園駅」または「赤坂駅」です。どちらの駅からも舞鶴公園(福岡城跡)までは徒歩で約8分〜10分程度とアクセスが良いです。福岡市の中心部にあるため、天神や博多駅からのアクセスも非常に便利です。
バスでの行き方
西鉄バスを利用する場合は、「福岡城・鴻臚館前」バス停で下車すると、徒歩すぐで舞鶴公園(福岡城跡)に到着します。博多駅や天神からのバス路線も豊富です。
車での行き方と駐車場情報
お車でお越しの場合、九州自動車道「福岡IC」から都市高速経由で約30分、または「太宰府IC」から都市高速経由で約25分で福岡城周辺に到着します。舞鶴公園(福岡城跡)内には、有料駐車場(舞鶴公園第1〜第3駐車場など)があります。合計で約250台以上駐車可能ですが、桜の時期やイベント開催時には混雑が予想されるため、公共交通機関の利用も検討しましょう。
福岡城周辺の観光名所:歴史と自然、食を満喫する
福岡城の周辺には、他にも魅力的な観光名所がたくさんあります。福岡城と合わせて訪れて、福岡市全体の奥深い魅力をさらに感じてみてください。
大濠公園:水辺のオアシス
福岡城跡の西側に隣接する「大濠公園」は、福岡市民の憩いの場として親しまれる、広大な水景公園です。かつては福岡城の外堀の一部でした。公園の中央には大きな池があり、ボート遊びや、池の周囲を散策することができます。美しい庭園や、カフェなども併設されており、リラックスした時間を過ごせます。福岡城見学の後、散歩に立ち寄るのがおすすめです。
福岡市美術館:芸術に触れる
大濠公園内にある「福岡市美術館」は、日本の近代美術から現代美術、アジアの古美術まで、幅広いジャンルの作品を収蔵・展示している美術館です。企画展も頻繁に開催されており、訪れるたびに新たな発見があるでしょう。歴史だけでなく、芸術にも触れたい方におすすめのスポットです。
護国神社:福岡の歴史を見守る
福岡城跡のすぐ北側に位置する「福岡縣護国神社」は、明治維新から太平洋戦争までの国のために殉じた福岡県出身の英霊を祀る神社です。広大な敷地と厳かな雰囲気が特徴で、参道を歩くだけでも心が洗われるような気持ちになります。毎年夏には「みたままつり」が開催され、多くの提灯が境内を彩ります。
ご当地の味とおすすめ店:福岡城の近くで楽しめる食事
福岡城周辺には、福岡ならではの美味しい料理を楽しめるお店がたくさんあります。観光の合間に、ぜひ地元の味を堪能してください。
博多ラーメン:豚骨ラーメンの聖地
福岡のソウルフードといえば、やはり「博多ラーメン」です。濃厚な豚骨スープと細麺、そして替え玉が特徴で、地元の人々はもちろん、観光客にも絶大な人気を誇ります。福岡城周辺の天神や大名エリアには、数多くの有名ラーメン店が軒を連ねています。お店ごとに異なるスープの味や麺の硬さを選び、本場の味を体験してみてください。
もつ鍋:福岡名物の定番
福岡の冬の味覚として人気の「もつ鍋」も、ぜひ味わいたい一品です。新鮮な牛や豚のモツを、醤油や味噌ベースのスープで煮込み、ニラやキャベツ、ニンニクなどを加えていただきます。コラーゲンが豊富で、ヘルシーながらも食べ応えがあります。福岡城周辺の居酒屋や郷土料理店で、温かいもつ鍋を囲んでみてください。
明太子:お土産にも最適
福岡を代表する特産品といえば「明太子」です。唐辛子や調味料で漬け込んだスケトウダラの卵巣で、辛さと旨味のバランスが絶妙です。ご飯のお供はもちろん、パスタやサラダなど様々な料理に使われます。福岡城周辺のお土産物店や、駅ビルなどで手軽に購入できます。辛さの種類や、生のままか炙ったものかなど、様々なバリエーションを楽しめます。
周辺名所への行き方:移動もスムーズに
福岡城周辺の観光名所への移動は、徒歩や公共交通機関を利用することで非常にスムーズに行えます。福岡市の中心部にあり、アクセスが良好なため、効率的に観光を楽しめます。
大濠公園・福岡市美術館へのアクセス
大濠公園は福岡城跡に隣接しており、徒歩で数分でアクセスできます。福岡市美術館は大濠公園内にあります。
護国神社へのアクセス
護国神社は福岡城跡の北側に隣接しており、徒歩で約5分〜10分程度の距離です。舞鶴公園内から直接アクセスできます。
まとめ:初心者にもおすすめの福岡城、旅の秘訣
福岡城は、築城の名手・黒田官兵衛によって築かれた広大な城跡であり、かつて四十もの櫓が立ち並び「石城」と称された堅固な城郭の面影を今に伝えています。天守閣は現存しませんが、国の史跡として整備された舞鶴公園では、広大な敷地と残された石垣や櫓から、当時の壮大さを肌で感じることができます。福岡市街の中心にありながら、豊かな緑に囲まれ、市民の憩いの場としても親しまれています。
見どころが多く、周辺の大濠公園や鴻臚館跡、そして博多ラーメンやもつ鍋といった美味しいグルメを合わせて一日中楽しめる場所ですので、旅の際はぜひ時間にゆとりを持ってお越しください。歴史に触れ、美しい景色を眺め、福岡ならではの美味しい料理を味わう。そんな福岡城への旅は、かけがえのない思い出となるはずです。ぜひ、福岡城で広大な城跡と黒田官兵衛の夢に触れてみてください。
この記事を読んでいただきありがとうございました。