小諸城で浅間山と城下町を望む旅:懐古園の四季と歴史の趣

戦国時代のお城 一覧

長野県小諸市に位置する小諸城は、日本で唯一、城下町よりも低い場所に築かれた「穴城」として知られます。現在は「懐古園」として整備され、雄大な浅間山を背景に、四季折々の美しい自然と城の歴史が調和した景観を楽しめます。大手門や三の門など、当時の姿を伝える遺構が残り、歴史の深さを感じさせる場所です。JR小諸駅から徒歩圏内というアクセスの良さも魅力です。小諸城で、独自の城郭構造と、そこから広がる絶景、そして城下町の風情を心ゆくまで堪能してください。


お城の歴史:誰がいつ築き、どんな役割を果たしたか

小諸城の歴史は、戦国時代にまで遡ります。もともとは大井氏の居城でしたが、武田信玄の信濃侵攻により武田氏の支配下に入り、山本勘助や馬場信房といった武田二十四将によって現在の縄張りの基礎が築かれたとされます。特に、城下町よりも低い位置に城を築くという「穴城」の構造は、千曲川の浸食によってできた深い谷を利用したもので、他には見られない小諸城の大きな特徴です。

武田氏滅亡後、織田信長、徳川家康の支配を経て、豊臣秀吉の時代には仙石秀久が入城します。仙石秀久は、関ヶ原の戦いで徳川方につき、その功績によって小諸藩の初代藩主となりました。彼の時代に、城の本格的な整備が進められ、現在の石垣や堀などの基礎が築かれました。

江戸時代に入ると、小諸城は小諸藩の政庁となり、牧野氏、青山氏、酒井氏など譜代大名が城主を務めます。その一方で、城自体は大規模な増築はされず、江戸時代の平和な世情を反映して、天守は築かれませんでした。

明治維新後の廃城令により、小諸城は取り壊されることとなりました。だが、市民の保存運動によって、大手門や三の門、石垣などは破壊を免れたのです。その後、明治33年(1900年)には、小諸義塾の創設者である木村熊二の発案により、「懐古園」として整備され、市民や観光客に開かれました。この懐古園という名前は、城跡がかつてを偲ぶ場所であることに由来します。小諸城は、戦国の激動から江戸の泰平、そして近代へと移り変わる日本の歴史を見守ってきた、貴重な城跡と評価できます。


見どころ紹介:空堀、土塁、郭跡などの特徴と魅力

大手門と三の門:現存する歴史的建造物の姿

小諸城の最大の見どころは、当時の姿を今に伝える現存の門です。特に、城の正門にあたる国指定重要文化財の「大手門」は、重厚な造りで、城の威厳を強く感じさせます。また、懐古園の入口となる「三の門」も、その堂々たる姿で訪れる人々を迎えます。これらの門をくぐることで、まるで時を遡ったかのように、戦国時代や江戸時代の城の雰囲気を味わうことが可能になります。

穴城の構造:城下町より低い異色の立地

小諸城の最も異色の特徴は、日本で唯一、城下町よりも低い位置に築かれた「穴城」であることです。周囲の深い谷や千曲川の分流を天然の堀として利用し、防御力を高めました。これは、地形を巧みに利用した真田氏の知恵の結晶とも評価できます。この特殊な構造こそが、小諸城の最大の魅力の一つです。

空堀と土塁:堅固な防御を物語る要塞の痕跡

小諸城は、その地形を活かした深い空堀や土塁が特徴です。千曲川の浸食によってできた天然の断崖絶壁を堀として利用した部分は、小諸城が「難攻不落」と言われた理由を物語っています。城内には、土を盛り上げて造られた土塁や、敵の侵入を防ぐための深い空堀の跡が残っています。これらの遺構を巡ると、当時の堅固な防御システムがどのようなものであったか、想像する手がかりになります。

石垣:築城技術と歴史の重み

小諸城の石垣は、武田氏や仙石氏の時代に築かれたもので、その堅固さから当時の築城技術の高さがうかがえます。特に、城郭の各所に残る石垣は、自然の石を巧みに組み合わせたもので、一つ一つの石に歴史の重みを感じられます。石垣の積み方や、崩れにくい工夫などをじっくり観察すると、当時の防御の工夫がよく分かります。

郭跡:城内の空間利用の妙

小諸城の城内は、本丸、二の丸、三の丸といった複数の郭(曲輪)によって構成されていました。現在、これらの郭跡は広々とした空間となっていますが、かつてはそれぞれの郭に御殿や兵舎、倉庫などが建ち並び、城の機能が分散されていました。郭跡を散策しながら、かつての建物の配置や、それぞれの郭が果たしていた役割を想像すると、城全体の構造や空間利用の妙が理解できます。

懐古園としての自然と調和

小諸城跡は、現在「懐古園」として整備され、歴史的な遺構と豊かな自然が融合した美しい公園となっています。園内には、桜の名所として知られる約5000本の桜をはじめ、ツツジ、カエデなど、四季折々の花々や木々が植えられています。特に春の桜の時期には、多くの観光客で賑わい、城跡と桜のコントラストは息をのむほど美しいです。


映える撮影スポット:人気の撮影場所や時期・時間帯のおすすめ

三の門と桜のトンネル

懐古園の入口である三の門は、小諸城を象徴する撮影スポットです。特に、春には門へと続く道の両側に桜が満開になり、美しい桜のトンネルが形成されます。この桜のトンネルを背景に三の門を捉えるアングルは、小諸城で最も絵になる写真が撮れるでしょう。早朝や夕暮れ時は、光の加減で桜の色がより鮮やかになり、幻想的な写真を撮影することが可能です。

大手門の重厚な姿と周辺の緑

国指定重要文化財の大手門は、その重厚な造りから歴史の深さを感じさせる撮影スポットです。門全体をフレームに収め、その存在感を際立たせるように撮影すると良いでしょう。門の細部や、使われている石の質感などをクローズアップして、歴史の息吹を感じる写真を撮るのもおすすめです。特に、天気が良く、青空を背景にすると、門の力強さが一層引き立ちます。

本丸跡からの浅間山を望む絶景

小諸城の本丸跡からは、雄大な浅間山を望むことが可能です。城の遺構越しに浅間山を捉えるアングルは、小諸城ならではの絶景写真が撮れるスポットです。特に、雪をかぶった冬の浅間山は、その壮大さが際立ち、城の歴史的背景と自然の雄大さを一枚の写真に収めることが可能になります。澄んだ空気の午前中が、クリアな写真を撮るのにおすすめの時期です。

水堀と石垣の調和が生み出す情景

小諸城は、その地形を活かした深い水堀と高い石垣が特徴です。これらの防御施設を背景に、水面に映る石垣や周辺の木々を捉えるアングルも美しいです。特に、紅葉の季節には、色づいた木々が水面に映り込み、鮮やかな色彩の写真を撮れることでしょう。橋の上や、堀沿いの遊歩道から、様々な角度で試すことが可能です。

 

現地体験:博物館見学、歴史散策、地域の催し物など

大手門・三の門の歴史的価値に触れる

小諸城を訪れたなら、まずは国指定重要文化財の「大手門」と、懐古園の入口である「三の門」をじっくりと見学してください。これらの門は、江戸時代に再建されたもので、当時の建築技術や城の構造を今に伝えています。

本丸跡・二の丸跡を散策し、往時を偲ぶ

小諸城の「本丸跡」や「二の丸跡」は、現在は広々とした空間となっていますが、かつては天守や御殿が建ち並び、城の中心であった場所です。城跡に残された石垣や土塁を巡りながら、当時の城の様子を想像することが可能です。特に本丸跡からは、浅間山の雄大な景色を望むことができ、城主が見ていたであろう景色を追体験できます。

小諸市立藤村記念館で文学に触れる

懐古園内には、小諸義塾の教師として小諸に滞在した作家・島崎藤村ゆかりの「小諸市立藤村記念館」があります。彼の代表作「破戒」の舞台となった小諸での生活や、文学活動に関する資料が展示されています。文学好きの方や、藤村の世界観に触れたい方には、ぜひ訪れていただきたい場所です。

小諸市動物園と遊園地で家族の時間を楽しむ

懐古園内には、城跡にある珍しい動物園「小諸市動物園」と、小さな遊園地が併設されています。家族連れや小さなお子様連れの方でも、歴史散策と合わせて一日中楽しむことができます。

小諸市立郷土博物館で地域の歴史を知る

懐古園内には、小諸市の歴史や文化、自然に関する資料を展示する「小諸市立郷土博物館」もあります。小諸城の歴史だけでなく、地域の特色や暮らしについて深く学ぶことが可能です。城の背景にある小諸という土地の魅力を知るには最適な場所です。

季節のイベントに参加し、地域の賑わいを体験する

懐古園では、一年を通して様々なイベントや催し物が開催されます。春には「小諸城址懐古園桜まつり」が開催され、夜桜のライトアップも行われます。秋には紅葉まつりなど、季節ごとの自然の美しさを楽しめるイベントがあります。訪れる時期のイベント情報を事前に確認し、参加してみるのも良い思い出になります。


交通手段:電車・乗合自動車・車での行き方、最寄り駅など

電車を利用した便利なアクセス

小諸城へのアクセスは、JR小諸駅が最寄りの駅です。JR小諸駅には、JR小海線としなの鉄道線が乗り入れています。

  • 東京方面から:北陸新幹線で佐久平駅まで移動し、JR小海線に乗り換えて小諸駅へ向かうことが可能です。また、しなの鉄道線で軽井沢駅から小諸駅へ向かう手段もあります。東京駅からおおむね1時間30分から2時間程度の所要時間となります。
  • 長野方面から: しなの鉄道線を利用すると、長野駅からおおむね40分で小諸駅に到着します。

小諸駅から小諸城跡(懐古園)までは、徒歩でおおむね3分から5分と、駅からのアクセスは非常に良好です。駅の改札を出てすぐ目の前に見えますので、迷うことはまずありません。

乗合自動車を利用した移動

小諸市内を巡る乗合自動車の路線もありますが、小諸駅から小諸城までは徒歩圏内のため、乗合自動車を利用する機会は少ないかもしれません。他の観光地へ移動する際に、乗合自動車を活用することが便利です。

車を利用したアクセスと駐車場情報

自家用車やレンタカーで小諸城へ向かう場合、上信越自動車道の小諸インターチェンジが最寄りのICです。小諸インターチェンジからは、おおむね10分から15分で小諸城周辺に到着します。

懐古園には、有料駐車場が複数あります(懐古園市営駐車場など)。収容台数に限りがあるため、特に桜の時期や観光シーズンは混雑が予想されます。早めの到着をおすすめします。駐車場から懐古園までは徒歩で移動することが可能です。

小諸城は、主要駅から徒歩圏内というアクセスの良さも魅力です。公共交通機関を利用しての訪問が非常に便利です。


周辺の観光名所:徒歩・公共交通で行ける名所

小諸城観光と合わせて、周辺の魅力的な観光名所も訪れてみてください。小諸市内には、歴史、文学、自然を満喫できる場所が多数あります。

小諸宿本陣主屋:歴史的な宿場町の面影

小諸城から徒歩おおむね10分の場所にある「小諸宿本陣主屋」は、かつて北国街道の宿場町として栄えた小諸宿の本陣(大名などが宿泊する宿)の建物です。江戸時代の歴史を今に伝える貴重な建造物で、当時の豪華な造りを見学することが可能です。歴史好きには見逃せない場所となります。

高峯高原:雄大な自然と絶景

小諸市の東部にある「高峯高原」は、標高2,000メートル級の高原で、四季折々の美しい自然を楽しめます。特に夏は高山植物が咲き誇り、散策や山歩きに最適です。冬はスキー場として賑わう場所です。小諸城からは車でおおむね40分から1時間かかりますが、雄大な自然を満喫したい方におすすめの場所です。

布引観音:伝説と絶景の寺院

小諸市郊外にある「布引観音」は、断崖絶壁に建つ観音堂で、「牛に引かれて善光寺参り」の伝説の舞台としても知られます。小諸城からは車でおおむね15分から20分程度の距離です。階段を上り、観音堂からの景色はまさに絶景で、歴史と自然、信仰の神秘を感じられる場所となっています。

地蔵峠:風光明媚な峠道

小諸市と佐久市を結ぶ「地蔵峠」は、かつての主要な交通路でした。現在では、雄大な景色を望む景勝地として人気があります。特に、秋の紅葉シーズンは、鮮やかな色彩で彩られ、美しい景観を楽しめることでしょう。小諸城からは車でおおむね20分から30分となります。

マンズワイン小諸ワイナリー:信州のワイン文化に触れる

長野県はワインの産地としても有名です。小諸市内には「マンズワイン小諸ワイナリー」があり、ワインの製造工程を見学したり、試飲を楽しんだりすることが可能です。小諸駅から車でおおむね10分です。ワイン好きの方には、ぜひ立ち寄っていただきたい場所となります。


ご当地の味とおすすめ店:城の近くで楽しめる食事&喫茶店

小諸城を訪れたなら、長野県や小諸ならではの「ご当地グルメ」をぜひ堪能してください。小諸駅周辺や懐古園の近くには、美味しいお店がたくさんあります。

信州そば:長野の代表的な味覚

長野県といえば、やはり「信州そば」です。風味豊かでコシのあるそばは、つゆとの相性も抜群です。小諸市内にも、こだわりのそばを提供するお店が複数あります。

  • 「草笛 小諸本店」:懐古園から徒歩圏内にある老舗のそば店です。手打ちのそばと、天ぷらなどの添え物も充実しています。特に、大盛りそばが有名です。

くるみそば・くるみうどん:香ばしい風味を味わう

長野県はくるみの生産が盛んなため、くるみをすりつぶして作った甘めのたれで食べる「くるみそば」や「くるみうどん」も郷土料理として親しまれています。香ばしいくるみの風味が食欲をそそる一品です。

  • 「草笛 小諸本店」:信州そばだけでなく、くるみそばも提供しています。

そばがき:そば本来の味わい

そば粉を熱湯で練り上げた「そばがき」は、そば本来の風味を存分に味わえる一品です。そばつゆや醤油でシンプルに味わうのが一般的となります。もちもちとした食感が特徴的です。

  • 「信州そば処小諸」:小諸駅近くにあるそば店です。信州そばと一緒にそばがきも楽しめます。

おやき:素朴な郷土の味

長野県の郷土食である「おやき」は、小麦粉やそば粉を練って作った皮で、野沢菜やなす、かぼちゃなどの具材を包み、焼いたり蒸したりしたものです。お店によって具材や味付けが異なるので、いくつか食べ比べてみるのも楽しいものです。

  • 「道の駅ヘルシーテラス佐久南」:小諸市から少し離れますが、地元のおやきや農産物が豊富に揃っています。

地酒・信州ワイン:土地の恵みを堪能

小諸には、酒蔵やワイナリーがあり、地元の美味しいお酒も楽しめます。食事と一緒に、地元の「地酒」や「信州ワイン」を試してみるのも良い経験です。

  • 「マンズワイン小諸ワイナリー」:ワイナリーで直接ワインを購入したり、試飲できる場合があります。

 

周辺名所への行き方:徒歩何分/交通手段などの簡潔な案内

小諸宿本陣主屋への行き方

小諸城から徒歩でアクセスできます。

  • 徒歩:小諸城(懐古園)から南へおおむね10分。

高峯高原への行き方

小諸城からは車でアクセスします。

  • 車:小諸城周辺から車でおおむね40分から1時間。

布引観音への行き方

小諸城からは車でアクセスします。

  • 車:小諸城周辺から車でおおむね15分から20分。

地蔵峠への行き方

小諸城からは車でアクセスします。

  • 車:小諸城周辺から車でおおむね20分から30分。

マンズワイン小諸ワイナリーへの行き方

小諸城からは車でアクセスします。

  • 車:小諸駅から車でおおむね10分。小諸城周辺からも同様にアクセス可能です。

これらの周辺観光名所への移動手段を把握し、効率の良い旅の計画を立ててください。


まとめ:初心者にもおすすめの理由、旅の秘訣

小諸城は、日本で唯一の「穴城」という独自の構造を持つ、歴史好きにはたまらない城跡です。駅から徒歩圏内というアクセスの良さも魅力で、歴史初心者でも気軽に訪れることが可能です。城跡は懐古園として整備され、四季折々の美しい自然と歴史的遺構が調和した景観を楽しめます。

旅の秘訣は、大手門や三の門といった現存の建物をじっくりと見学し、城下町よりも低い位置にある城の構造を体感することです。また、本丸跡からは雄大な浅間山を望む絶景を楽しめます。春の桜まつりや秋の紅葉など、季節ごとの美しさを味わうのもおすすめです。信州そばやくるみそばといった地元グルメも堪能し、小諸の歴史と自然、食を存分に満喫する旅を計画してください。

この記事を読んでいただきありがとうございました。

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